他国に追加関税を課して脅迫するのが米国の現政権の考え方だ。米国が欲しがるものを与えなければ、追加関税のムチを振るって威嚇される。このような強盗の論理は、列強が武力を背景に行なってきた砲艦政策時代の再来を感じさせる。これが21世紀の出来事と言えるだろうか?
米国は先般、追加関税でメキシコを威嚇し、中米から米国への移民流入阻止の強化に同意させた。米国はメキシコと「偉大な協議」を結んだと得意げに発表したが、2日も経たないうちに、ポンペオ米国務長官は「メキシコの不法移民対策に十分な進展が見られない場合、米国はメキシコに対して追加関税を発動する可能性がある」と述べた。露骨な「弱肉強食の法則」は再び世界を驚かせ、国際社会から批判が湧き上がった。世界貿易機関(WTO)前事務局長のパスカル・ラミー氏は、「米国の力ずくの行為はWTOの規定に完全に反する」と厳しく非難し、「メキシコは今後も米国の一層の脅威に晒される可能性がある」との懸念を示した。
人々は誤った経済貿易政策がもたらす最悪の結果を忘れてはならない。1920年代後半に米国は自国本位な高い関税政策を提起したが、それが引き金となって世界恐慌が起こり、世界貿易総額は1929年から1934年にかけて66%縮小し、悲惨な教訓となった。第2次大戦後に構築された国際秩序は、悲劇が繰り返されることを防ぐのが狙いだった。しかし、米国の現政権が追加関税の危険なゲームに夢中になり、世界市場のリスク源のようになってしまったため、世界では憂慮の声が高まっている。