フランス各界が中国の通信企業との協力に引き続き開放的な姿勢を示している。同国のマクロン大統領はじめ政府高官らはこのほど、「特定のサプライヤーを排除することはしない」と表明した。
欧州各国の発展に5G戦略が関わってくるようになると、欧州各界は中国の通信企業による欧州での5G事業展開に肯定的な姿勢をみせるようになった。特に、欧州が貿易や気候変動、イラン核問題など様々な問題を巡り、米国側から圧力をかけられるようになると、フランスは欧州各国に対し、自主独立路線で次世代通信規格5Gの発展に取り組むとともに、中国と良好かつインタラクティブな関係を構築し、実務レベルで協力するよう促した。
同国のブリュノ・ル・メール経済・財務相は、国の主権と安全を確保し、最適な技術を取得することを前提に、「フランスは5Gの発展で特定の企業を故意に排除をすることはしない」と表明した。欧州の通信事業者の多くが華為技術(ファーウェイ)など中国の通信企業と業務提携しているのが現状だ。フランス国際関係戦略研究所(IRIS)のシルヴィ・マーテリー副所長は、ファーウェイは通信分野で先端技術を持っているとして、フランスは同社に大きな期待を寄せていると述べた。
フランスの通信事業者キャリアと通信業界は、このところの中国の通信企業による技術の進展や欧州における展開を高く評価している。仏日刊紙『ル・フィガロ』は先ごろ、移動体通信の国際業界団体GSMAの報告書を引用して、ファーウェイをはじめとする中国の通信企業が存在しなかったとしたら、欧州はこの分野で1年半もの遅れをとっていたであろうと報じた。むやみに中国企業を排除すれば、EUと米国との間の5G普及率の差は2025年まで15ポイントも開いたであろう。さらに業界内部の競争力は著しく削がれ、価格は高騰し、余分なコストも発生したであろうとしている。