増資のほか、外資系保険機関の中国での機関新設、業務範囲拡大なども集中的に行われている。今年に入り、銀行保険監督管理委員会は匯豊人寿、中信保誠、工銀安盛など約10社の合弁および外資系保険企業の省クラス支部の設立を認可した。4月と5月、工銀安盛人寿と交銀康聯の2社の合弁保険会社の資産管理子会社が上海で運営を開始した。2018年末、アリアンツ・グループが上海に初の合弁保険会社を設立した。
中国社会科学院保険。経済発展研究センターの王向楠秘書長は、近頃増資している合弁と外資系企業を見ると、株主は増資するだけで株式を譲渡しておらず、中国の保険市場、特にその母国と投資国の保険市場の成長と利益状況を楽観視し、中国の保険市場の成長見通しに期待しているとわかると話した。中国保険業協会の統計によると、今年1~4月の中国で業務を行う外資系保険企業の保険料収入の市場シェアは6.84%に達し、前年同期比1.78%上昇した。
シェアの上昇と同時に、データは外資系保険企業が中国保険業に占める比率はまだ低いことも示しているが、郭樹清氏は「今後の開放余地はさらに大きい」と率直に述べた。注目すべきは、国家発展改革委員会、商務部などの部門・委員会が外資系企業の調査研究を集中的に行い、貿易情勢への対応し、投資の自信向上、外商投資法関連法の整備などについて関連企業の代表と話し合っている点である。専門家は、外資系保険企業を含む外商投資法関連法および開放拡大の一連の措置の作成は加速化すると見ている。そのほか、郭樹清氏は、『外資銀行管理条例』と『外資保険会社管理条例』の2つの条例の細則の改正が完了し、近く公布・施工される見通しだと明かした。また、金融開放措置を実施するための新ラウンドの法改正作業もスタートする。
保険業の開放に伴う適切な政策措置について、多くの外資系機関の責任者が、中国エリア戦略の意義が顕著となっていると話す。AIG保険の総裁兼CEOの孫立群氏は、「AIGは中国業務の管理体制を調整し、以前はAIGアジア太平洋地域に業務報告をしていたが、現在は本社に直接報告している、これは中国市場のAIGにおける重要性が高まったことを意味する」と述べた。
保険業開放の裏で外資系保険企業のさらなる動きもある。ムーディーズのチーフアナリストの袁永基氏は取材に対し、「監督管理政策の緩和は外資系保険機関により大きな柔軟性を提供した。外資系保険企業は国内の保険企業と比べて商品コントロール、リスク制御、資産負債対応の面に慎重で、長期的な利益の安定性に注目し、今後は業務拡張において利益率が高く、長期的、ミドル・ハイエンドの保健分野に投資する可能性がある」と話した。
東方金誠のチーフアナリスト徐承遠氏は、「外資系機関は株主の優位性に頼り、長所を生かして短所を避け、国内保険市場の脆弱な分野に力を入れる可能性がある。これは保険市場の商品多様性の向上を促す。また、国内市場の保険機関、特に再保険機関の増加は、リスクの世界への分散につながる」との見解を示した。
また袁永基氏は、今後、リプライシング監督管理方面を持続的に追跡すべきだとし、「市場競争が激しく、外資系保険企業が得意とする健康保険も政策奨励の方向であるため、今後は健康保険市場の競争において一部の急進的な企業が保険引き受け要求とプライシングを引き下げて競争力を高める可能性がある。短期で見ればリスクは大きくないが、長期的に続けば一部の企業のハイリスク開拓商品の市場リスクが高まる可能性がある」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年6月30日