世界経済フォーラム(WEF)は9日、2019年版の「世界競争力報告」を発表した。世界各国の経済競争力を比較したランキングで、中国は昨年度と同じ28位だった。市場規模、イノベーション、情報通信技術の項目で高い評価を付けた。
WEFは、世界金融危機の発生から10数年が経ったが、この間、各国は一連の景気刺激策を講じてきたものの、世界経済は依然として生産性が伸び悩んでいると指摘した。141カ国・地域を対象に競争力を分析したランキングで、シンガポールは84.8点をつけ初めて首位に立った。中国は昨年度と同順位を維持、新興5カ国(BRICs、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の中では最高位だった。
世界経済フォーラム(WEF)のエコノミスト、ティエリー・ガイガー氏は、中国が28位につけたことについて、点数も若干上げたとして高く評価。先進国並みに上げた項目もあり、中でもイノベーションの発展が非常に速かったと述べた。
WEFは一方で、地政学的リスクや貿易摩擦激化への警戒感の高まりにより、世界経済の先行き不透明感が強まるなか、景気後退に陥る可能性があるとの見方を示した。政策立案者は全体を俯瞰して政策を策定し、質の高い発展に関心を持つべきだと指摘。短期的要因と四半期業績、選挙サイクルとの関係をより均衡化すべきだと提言した。