中国は経済成長に伴って主体的に国際貿易に関わるようになった。特に2001年のWTO(世界貿易機関)加盟後、中国の国際貿易は急速に発展。2007年に世界最大の貨物輸出国となり、2018年には輸出入総額が初めて米国を上回った。ところが、保護貿易主義の台頭につれて中国の国際貿易も試練を迎えており、今後は以下の三点に取り組む必要がある。
一つ目は、国際貿易を引き続き深化させ、グローバルバリューチェーンのネットワークに深く食い込むこと。世界で保護貿易主義が台頭し、一部の国家は関税引き上げなどのやり方で中国の商品輸出に打撃を及ぼしている。中国は前向きな気持ちを持って主体的に対応し、貿易ネットワークの拡大と多国間貿易パートナーシップの発展を図る必要がある。発展途上国ではここ数年にわたる急速な経済成長で貿易の需要が日増しに高まり、潜在的な貿易総量は無視できない水準となった。中国は2013年に「一帯一路」構想を打ち出して沿線地区のインフラ建設を進め、貿易発展の良好な基盤を築いてきた。今後は沿線国との貿易を強化し、貿易を通じて中国と他の発展途上国の経済的なウインウインを促進しながら「南南協力」を強化すれば、中国の持続的な経済成長を支えると同時に中国の世界的な影響力を高めることになる。
二つ目は、産業高度化の推進でバリューチェンにおける中国のポジションを高め、ハイテク産業の就業を生み出すこと。中国は国際分業体系に深く参与しているが、「量から質へ」の転換にはまだ長い道のりを要する。さらに重要なこととして、人工知能の発展に伴い、国際貿易においてハイエンド製造業をめぐる駆け引きが熾烈化する見通しのなか、中国は製造業のなかでも特にハイエンド製造業の発展を重視し、危機感を強めなければならない。また、社会主義市場経済の規律に対する認識を深め、資源配分における市場の作用を発揮させる必要がある。一方で政府の作用も発揮させ、企業のイノベーション奨励やハイテク産業の発展を通じ、中国は対外貿易の新たな優位性を築くべきだ。
三つ目は、国際貿易規則のグローバルガバナンスに深く参与すること。国際貿易規則が新たに再構築される時期に国際的な影響力を向上させている中国は、規則の変革に参与し、大国の責任を担って大国の義務を果たす必要がある。規則制定のプロセスで、グローバルバリューチェーンをベースとする世界の貿易体系を理解して受け入れ、開放と包括の多国間貿易規則の発展に注力すべきだ。貿易に対して中国が求める経済発展と就業安定への恩恵と、国際社会のニーズを合致させ、中国が持続的に高めている国の総合力を規則制定における発言権と影響力に転化させることで、公平な規則のある環境の構築に努めなければならない。(作者:清華大学公共管理学院)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年10月31日