2018年以降、米国が中国に貿易戦を発動したことで、外資系企業は中国が対米投資企業を規制するのではないか、中国のビジネス環境が悪化するのではないかなどを懸念するようになった。『報告』がFDI流入が多い30の国と地域を調査したところ、2018年の中国のFDI総合ビジネス環境ランキングは7位だった。うち、FDI信頼度指数は42.26で4位、FDI潜在力指数は44.67で10位につける。『報告』は、2008~2018年の10年間、中国の外資ビジネス環境指数はトップ10を維持し、全体的なビジネス環境は外資導入を促し、将来的に安定したFDI信頼度と潜在力を備えるとした。
『報告』は比較分析し、中米貿易摩擦は中国ハイテク産業の外資導入にやや影響を及ぼすが、比較的小さいと判断。2019年第1四半期と第2四半期、中国ハイテク産業の外資導入は前年同期比15.47%と16.43%増加し、勢いよく伸びている。しかし今後、中米貿易摩擦が中国ハイテク産業の外資導入に及ぼす影響が現れる可能性があり、中国はこれらの悪影響に対応する政策措置を打ち出す必要がある。
外資ビジネス環境の改善
『報告』は、市場化FDIビジネス環境を改善するため、まずネガティブリスト管理の操作性と透明性を高め、サービス業の参入規制を緩和する必要があると提言。また、外商投資の促進、保護・管理法とリンクさせた外商投資法実施条例と実施細則を打ち出す必要もある。標準化管理の規定を整備し、外資系企業の標準化作業への平等な参与を奨励する。
2つ目は、中国の地域の発展には差があり、中西部地区自由貿易試験区と比べて、東部地区自由貿易試験区のFDI総合競争力は高く、地域に合った外資誘致政策を設定する必要がある。
3つ目は、粤港澳大湾区を世界先進湾区の基準にし、差を探し、短所を補い、産業分担と統一的協調メカニズムを明確にし、基礎研究開発機関を増やし、ハイテク人材の備蓄を強化する。
『報告』課題チームのリーダーで対外経済貿易大学国際経済研究院院長の桑百川教授は、中国は改革深化、開放拡大を積極的に進め、FDIビジネス環境の改善に引き続き努力し、外資を積極的に導入・利用し、複雑な国際環境に対応すべきだとの見解を示した。また、「外資を積極的に利用し、中国経済の質と効果を高める環境を形成する必要がある」と強調した。「大変局中の外資ビジネス環境」シンポジウムも同時開催され、国家発展改革委員会、中国社会科学院、商務部貿易研究院、中国貿易促進会、中央財経大学、中商シンクタンクなどの期間の専門家・学者が『報告』の内容と観点を評価し、話し合った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年12月14日