かつてブームを迎えたシェアリングエコノミーが急激に冷え込み、この新たな消費モデルが単なるバブルだったのではないかと疑問視されている。ところが記者の調べによると、ビッグデータなどの先進技術を用い市場の実需を模索し、腰を据えてサービスに取り組むことで、この「成長期」の新業態は力強い国内市場に新たな動力を注ぎ込んでいる。
北京市民の厳暁さんは最近、フードデリバリープラットフォーム「美団」のアプリで週末の新たな遊び方を見つけた。それはシェアサイクルに乗り都市の有名観光地をめぐることだ。
新たな遊び方とは、美団の新しいサービスによるものだ。美団は2018年4月にシェアサイクル大手「摩拜単車」を買収し、衣食住と娯楽を一体化させたサービスを開始した。業界関係者は、この買収により美団はより整った閉ループ消費圏を形成し、より多くの付加価値サービスを生み出せると分析した。
今年のシェアリングエコノミー市場を見ると、生態圏への融合の加速、消費アップグレードの促進という発展方向がより明確になっている。
成都市の民泊プラットフォーム「小猪短租」は、民泊という業態を老朽化した団地の改築と融合させ、民泊の新業態を模索している。
北京市では、スマホ充電器シェアサービスプラットフォーム「街電」が事業を拡大し、飲食店、コンビニ、公共交通などの分野を跨ぐ協力により、「停電しない生態圏」を構築している。
石家荘市では、自習室シェアサービスプラットフォームの「努力鴨」が、多くの創業を志す大学生、いくつかの仕事を掛け持ちする若者、脱サラする若き創業者を集め、一大勢力を作っている。
業界内の専門家によると、シェアリングプラットフォーム企業は自社サービスの利用者というメリットを活かし、消費シーンの争奪戦を展開している。供給側の革新に取り組み、業界と生態圏を共に構築することで、ウィンウィンを実現しようとしている。
国家情報センターのデータによると、移動・宿泊・外食などの分野のシェアリングエコノミー新業態は2016年に、業界の成長率を1.6ポイント押し上げた。2017年は2.1ポイント、2018年は1.6ポイント。中国のシェアリングエコノミーは今後3年に渡り、年平均30%以上の伸び率を維持する見通しだ。
「私は車の運転が好きで、普段の仕事も忙しくない。暇な時間を利用して小遣いを稼ごうと思い、試してみようと加わった」山西省晋中市で暮らす許達さん(25)は今年9月、知り合いに推薦されシェア物流プラットフォーム「貨拉拉」に加わった。それから彼は時間があると物流パークや工場付近まで荷物を探しに行くようになった。1カ月のうち7、8日は車を運転し、本職と副業に勤しんでいる。
貨拉拉の張燕梅CMOは「当社は今年、地方への事業展開を続け、市場を切り開いている。関連事業は新たに100以上の都市に進出し、その多くが3・4級都市だ」と話した。
記者の調べによると、貨拉拉のように「地方の若者」の購買力に照準を合わせるシェアプラットフォーム企業が増えている。3−6級都市及び県・鎮を始めとする地方市場での展開を加速している。
シェアリングエコノミーのみならず、消費財産業及びサービス業の融合が生み出すパーソナライズドされた家庭生活及び衣料品などの消費の新業態、オンライン・オフライン融合が生み出す体験型消費、「スマート+」サービス消費などの消費の新モデルが消費アップグレードに火をつけている。製造業の質向上をけん引し、雇用拡大を促進している。これは国内市場の活力と潜在力を鮮明に反映している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年12月28日