ビル・ペレットさんは米アイオワ州アトランティックの70代の農家だ。彼の家には6000エーカー(1エーカーは約0.4ヘクタール)の農場があり、主に大豆とトウモロコシを栽培している。さらに肉牛を2000頭余り飼育している。経済貿易摩擦による市場の不確実性は、ペレットさんの1年の農場の経営計画を乱した。ペレットさんは、貿易戦争があと1−2年続けば耐えられないと述べた。
アイオワ州立大学の経済学教授のチャド・ハート氏の計算によると、貿易戦争が2018、19年にアイオワ州にもたらした経済的損失は約20億ドルで、うち農業が最も深刻だ。「我々の農産物の2割以上が輸出されている。中国は過去15−20年に渡り、我々の最大の市場だった」
実際に貿易戦争がなかったとしても、米国の農業は以前よりも苦しい状況に置かれている。ペレットさんの隣人で、乳牛の牧場を管理するケリー・カニンガムさんは、「貿易戦争がなければ、メディアは各農業州に焦点を絞らない。米国は長年に渡り農業を重視しておらず、経費を投じていない」と述べた。