サウジアラビアが価格競争を仕掛け、国際原油価格が2割以上低下した。これに新型コロナウイルス肺炎の世界における持続的な拡散が加わり、ニューヨーク株式市場は9日に取引開始から売りが殺到した。下げ幅が7%の上限に達し、サーキットブレーカーが発動された。ニューヨーク株式市場の主要3指標の下げ幅が同日、いずれも7%以上となった。
複数の市場関係者は、「現在の株価暴落と市場の変動を抑制するべきだ。政府は財政政策を打ち出し、積極的に感染対策を行う必要がある。金融政策は正確な対応ツールではない」と述べた。
バンク・オブ・アメリカのグローバル研究部門は9日の報告書の中で、「米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げに対する市場の負の反応は、現在の新型コロナウイルス肺炎の危機に対して中央銀行が無力であることを浮き彫りにした。新型肺炎は供給側に衝撃をもたらした。この時期には金融政策よりも、医療衛生政策及び特定方向の財政政策を実施することが重要だ。政府は感染症に合った政策を見つけるべきだ」と指摘した。
マクロ経済研究機関MRBパートナーズの関係者は6日、記者の独占インタビューに応じた際に「FRBは先ほど50ベーシスポイントの利下げを行ったが、これは感染対策の正確なツールではない。政府は新型コロナウイルスの検査に力を入れ、合致する症状が出ている人全員の検査を行うべきだ」と述べた。
しかしCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchツールによると、FRBが3月の定例会合でさらに75ベーシスポイントの利下げに踏み切る可能性は100%、100ベーシスポイントは45.8%となっている。FRBが政策金利の誘導目標を1−1.25%としていることから、これは市場が政策金利ゼロの可能性を見ていることになる。
バンク・オブ・アメリカは、米国経済には依然としてU字を描く可能性があるが、底がさらに深くなると予想した。今年第1四半期の米国の経済成長率は1.5%、第2四半期は1%、第3四半期は1.4%になる見通しだという。
UBSウェルス・マネジメントのグローバル投資責任者は9日に発表した報告書の中で、「新型肺炎のさらなる拡散及び規制措置の実施、原油価格の暴落による債券市場の衝撃、収益率のカーブの平坦化による金融引き締めといった要素が今後、市場の不利な情報となりうる。これらの潜在的な不利な要素と投資家のデレバレッジにより、市場が短期間内に変動を続ける可能性が高い」とした。
しかし同氏は、各方面の積極的な進展が見通しを改善する可能性があるとした。中国と韓国の感染対策の進展を見ると、感染症は比較的短い間に抑制されうる。低い原油価格と住宅ローン金利が消費を刺激する可能性がある。一部の国・地域は相互協調の財政・金融政策を実施する可能性がある。また債券利回りの低下が株価上昇を促すという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年3月10日