中国企業、感染症流行の東南アジア経済に「雪中の炭」を送る
観光業は中断、航空産業は縮小し、服飾加工工場は「チェーン切断」の危機に直面するなど、新型コロナウイルス感染の流行によって東南アジア経済は大きな打撃を受けた。東南アジアに進出している中国企業は防疫対策を行いながら生産を進め、早期に現地の活力を回復させ、経済の落ち込みを乗り切るために「雪中に炭を送る」ことで貢献している。
カンボジア北部のラオスとの国境にあるストゥントレン州で、華能桑河二級水電公司運用保守担当の王浩氏は140日以上にわたり、点検、運営、当直管理を行う忙しい毎日を送っている。感染症の流行で人手不足にもかかわらず、カンボジア最大の水力発電プロジェクトである桑河二級水力発電所は安定的に稼働しており、1月から4月上旬までに1億4000万kWh以上を発電し、カンボジアの経済・社会の発展を支えている。
ラオスでは、中国・ラオス鉄道プロジェクトが感染症流行中も順調に進んでいる。3月18日に電力供給プロジェクトの施工が全線で行われ、3月27日には線路の敷設が開始、3月31日に通信信号工事が開始された。4月1日にバンナハン湄公河(メコン川)特大橋が連結され、4月10日にはルアンパバーン湄公河特大橋の建設が始まっている。建設に参与する中国鉄建、中国中鉄、南方電網といった中国企業はプロジェクトを着実に進め、「陸の鎖国から陸でつながる国へ変わる」目標に向け一歩ずつ前進するラオスを支援している。
インドネシアのジャカルタ-バンドン高速鉄道、中国・ミャンマー天然ガスパイプライン、カンボジアのプノンペン-シアヌークビル高速道路などの「一帯一路」重点プロジェクトも、感染症流行中に着実に進み、現地経済の発展基盤を築いている。
マレーシア新アジア戦略研究センター(CNIA)理事長のKoh King Kee氏は、中国とASEANの産業チェーンとバリューチェーンが統合するプロセスは、長所を活かして短所を補う互恵・ウインウインのプロセスになると説明。中国の段階的な営業と生産の再開は、アジア太平洋地域のサプライチェーンの安定維持に重要な作用を発揮していると話した。
3月初め、感染症流行の影響を受けたカンボジアでは、支柱産業である服飾加工産業の原材料が不足し、「チェーン切断」の危機に直面した。この大事なタイミングで中国は、即座に原材料を集めてカンボジアンへ送った。カンボジアのフン・セン首相は、カンボジア国内工場の差し迫った状況を和らげた全ての中国企業と投資家に感謝すると述べている。
中国・カンボジア自由貿易協定の交渉第2ラウンドが先ごろ、ビデオ形式で行われた。双方は、協定の内容に関する広範なコンセンサスをまとめると共に、ビデオ会議を含む様々な方法で引き続き交渉を加速し、自由貿易の推進、地域経済の安定、グローバル産業チェーンの維持、新型コロナウイルスの防疫対策を共同で行うことを確認した。
北京外国語大学アジア学院副院長、カンボジア研究センター所長の顧佳贇氏は、中国とカンボジアが感染症の流行中に互いに支え合っており、双方の関係が感染症の流行で疎遠になることはなく、むしろ緊密になったとの見解を示している。