「中国が貧困脱却を目指す任務を完了し、小康社会(ややゆとりのある社会)を全面的に構築すれば、中国の巨大な消費潜在力が解放され、世界経済の発展につながる一層大きなチャンスが生まれるだろう」。在中国マレーシア大使のラジャダト・ヌシワン・ザイナイルアビディン氏はこう話した。
同氏は、中国の両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)開催時に行われた『新華社』の独占取材に対し、中国が進める貧困脱却の世界的な意義や、マレーシアと中国の防疫対策協力および科学技術イノベーション協力の見通しなどについて自身の見解を明らかにした。
今年の両会は、小康社会の全面構築と貧困脱却の任務を進める最後の年、かつ「第13次5カ年計画」の最終年に開催される。同氏は、中国政府による貧困脱却の成果が人心を強く鼓舞し、数億人が貧困から完全に脱却することが可能なことを示したと指摘。「中国が貧困脱却の戦いに打ち勝つことは、中国の歴史だけでなく世界史上の大きな成果にもなる」との見方を明らかにした。
同氏は、中国が貧困脱却の戦いに打ち勝つことは、自然災害に対する中国社会の抵抗力が強くなることも意味すると説明。世界最多の人口を抱える中国が得たこの成果は、世界を安定させるとみている。
中国が小康社会を全面的に構築するプロセスで得た成果について、中国によるイノベーションや科学技術の進歩は人々に深い印象を与えていると指摘。中国の「専利(特許、実用新案、意匠の総称)」申請件数が引き続き世界をリードしている背景には、中国のイノベーションの伝統があると説明した。
「中国の成果はマレーシアと中国の協力に新たなチャンスをもたらす」。同氏は、「我々は両国の科学技術協力に非常に期待しており、この分野の交流を強化しなければならない。マレーシア政府は以前から開放のスタンスを持ち続け、華為(ファーウェイ)など中国企業の5G建設参与を支援してきた。今後も、一層多くの中国イノベーション企業がマレーシアに拠点を構えることを歓迎する」と話した。