今年の中国の「両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)」は例年とは明らかに異なる。世界で新型コロナウイルス感染が流行し、世界経済の減速圧力が拡大する厳しい状況のなか、中国の両会が順調に開催されたこと自体が、中国は常態に回復しつつあるという強いサインを送った。両会の開催期間中に伝わったニュースは世界に貴重な自信を注入した。
「感染症の流行は依然として世界に影響を及ぼしているが、中国はすでに感染症を抑制し、経済回復の段階に入った」。シンガポール国際事務研究所シニアフェローのエイ・スン・オウ氏はこう話した。
世界でアフターコロナの経済発展が考えられるなか、中国の両会が送ったサインは国際社会の注目を集めた。今年の政府活動報告には通年の目標成長率が定められていない。「これは良いことだ。中国はここ数年で新常態に入り、経済成長が減速する一方、経済のモデル転換により多くの時間を当てている。この時期に中国は5Gや電子商取引(EC)などの分野でトップの地位を築いた。中国は数量を追求するのではなく、質を一層重視している」。エイ・スン・オウ氏は、「政府活動報告では、小企業と個人事業主の所得税納付が来年に引き延ばされ、中小企業向け貸出償還期限延長政策も来年3月末まで延長された。経済を回復させるためには中小企業の立て直しを支えることが大切で、どの国でも中小企業が就業機会を最も多く提供している。東南アジア各国にとって、中国のこうした措置は非常に大きなヒントになる」としている。
中国が良くなれば世界もさらに良くなる。中国の未来に国際社会は期待している。エイ・スン・オウ氏は、「中国が一層ハイクオリティな発展を追求していることも周辺国の経済成長の推進力になる」との見解を示した。
国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済成長率が3%に低下し、経済が1930年代の大不況以降では最も大きく落ち込むと予想している。新型コロナウイルスの感染流行によって、人的資本等の流動制限や世界のサプライチェーンに対する損害、国際貿易の大幅な減少、開放貿易システムへの影響が起こり、ポピュリズムと保護主義が台頭した。厳しい状況のなか、中国は両会を通じ、対外開放の拡大や産業チェーンとサプライチェーンの安定を確固として進め、開放によって改革と発展を促進する力強い声を発した。これは間違いなく世界の期待を向上させるだろう。
オーストラリア国立大学東アジア経済研究所所長のピーター・ドライスデイル氏は、中国が開放的かつ公平な市場環境の構築に注力していることが投資家マインドを向上させ、世界経済の回復を促進するとの見解を示した。
「東南アジア各国と中国は密接な経済・貿易交流があるため、中国には自身の経済を回復させると同時に、我々の成長も後押ししてほしいと思う」。エイ・スン・オウ氏は、「我々は、中国がハイクオリティな『一帯一路』共同建設を堅持すると共に、対外投資の健全な発展を誘導していることに満足している。東南アジア各国が経済を再起動させるには、中国からの大量の投資を必要としている」と説明した。
中国の両会は、世界が巨大なショックに遭遇するなか、中国が危機においてチャンスを生み出し、変化する情勢で新たな局面を切り開こうと努力していることを世界に対してはっきりと示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月6日