自力更生は宇宙事業精神の重要な含意の一つだ。宇宙科学技術分野に数十年間携わった経験は、中国空間技術研究院研究員、中国科学院院士の叶培建氏に自力更生の重要性を強く実感させた。同氏によると、世界に学ぶと同時にそれを心に刻む必要があり、自身の力が無ければコア技術を習得することはできない。
「この点について宇宙事業関係者は最も深く実感しており、歴史の教訓と身を切られるような痛みが、我々にハイエンドの宇宙技術が買えるものではないと教えてくれた」。叶培建氏は、特に現在のような国際情勢下で、科学技術イノベーションの運動エネルギーを解放し、中国人科学者が特有の愛国精神を発揮し、全ての研究機関と学術機関が国家のために尽力することで、国民に貢献し、社会に幸福をもたらす必要があるとの見解を示した。
コア技術のブレークスルーを果たすには、長期にわたる研究の蓄積を要する。新型コロナウイルスの感染流行後、軍事科学院軍事医学研究院研究員、中国工程院院士の陳薇氏が率いるグループが全力で研究開発したアデノウイルスベクター組換新型コロナウイルスワクチンは、世界で初めて第2相臨床試験に入った新型コロナウイルスワクチンだ。
新型コロナウイルスワクチンの研究と同時に感染症流行中の臨時科学研究を進める陳薇氏は、中国のバイオセキュリティ分野の科学技術イノベーションについて踏み込んだ考えを持っている。
「システム再編による『ホワイトリスト』制度の構築など長期的に有効な支援メカニズムを構築し、バイオセキュリティ分野の科学研究プロジェクトやグループに安定的な継続支援を行うことで、コア技術のブレークスルーを目指して欲しい」。また、バイオセキュリティの科学研究や産業など複数の力を合わせ、学科交流プラットフォームを構築し、成果を「ラストワンマイル」へ実用化することを提案している。
中国航空工業集団公司科技委副主任、中国工程院院士の樊会涛氏は、「現在、中国の科学技術イノベーションは、大部分が追走している状態から、並走もしくは先導する分野が増える方へと向かっている。私は、追走段階では主に消化・吸収による再イノベーションが中心となり、並走段階になってイノベーションの集積を増やし、先導するにはオリジナルのイノベーションに加え、基礎研究への投資も拡大する必要があると考えている」と話した。
叶培建氏は、「中華民族の偉大な復興という中国の夢を実現する道で、我々は科学界と全社会の共同努力を通じ、中国の科学技術イノベーションが新時代の中国の加速度を生み出し、中国を新たな高みに到達させると信じている」と強調した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年6月6日