中国人民銀行(中央銀行)は7日、人民元取引の基準値(中間値)を1ドル=7.0310元に設定。前日の基準値に比べて0.0353元の大幅な元高設定で、今年4月14日以来、約3カ月ぶりの元高水準だった。注目すべきは、市場の予想通り、同日のオフショア人民元の対ドルレートは1ドル=7.0124元で寄り付き、一時、節目の7元を突破して6.9918元まで上げ、今年3月18日以来の高値を付けたことだ。
中国銀行研究所の王有鑫研究員は証券日報の取材に対し、「最近のオフショア人民元の上昇は、実際には政治要因と経済要因が絡み合った結果だ」と述べた上で、次の3つの点を挙げた。
1、香港を含む中国経済・金融市場の発展に対する市場センチメントが改善した。
2、中国国内で経済活動の再開が急速に進み、貿易や投資、消費などの主要経済指標が徐々に改善。製造業購買担当者景気指数(PMI)は景況判断の節目となる50を4カ月連続で上回った。海外投資家は人民元建て資産を積極的に増やしており、香港証券取引所経由で中国本土の上場銘柄を売買する「陸股通」ルートを通じた、国境を跨ぐ資金純流入の増加が人民元の上昇を後押ししている。
3、米連邦準備制度理事会(FRB)が極端な金融緩和を進める一方、人民銀行は穏健な金融政策を維持。近日の上海銀行間取引金利(Shibor)は翌日物金利(オーバーナイトレート)が若干上昇、中米金利差は高水準で推移し、人民元相場を支えている。
人民元相場が徐々に安定し、かつ国内外の金利差が高水準で推移するのに伴い、人民元建て資産は世界の資産の「安全な避難場先」となりつつある。国際通貨基金(IMF)が先ごろ発表した公的外貨準備の通貨別構成(COFER)によると、今年第1四半期(1~3月)の人民元建ての外貨準備は計2200億ドルと、5四半期連続で増加。世界各国の外貨準備に占める人民元の割合は2.02%に上昇し、過去最高となった。
王氏は「海外のマイナス金利やゼロ金利という投資環境に比べ、人民元建て資産の魅力が大幅に高まり、国境を跨ぐ資金流入が増加するなど、ファンダメンタルズや国境を跨ぐ資金流動がこうした動きを下支えする」との見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年7月12日