TikTokがマイクロソフトと合意するとみられている買収では、明らかにマイクロソフト側が大いに得をすることになるだろう。
これより前、TikTokの海外業務売却対価に関する噂では、TikTokの評価価値は約500億ドルだとされていた。仮にそうだとしても、TikTokが海外市場に進出して以来の拡張スピード、潜在的価値、商業化イノベーション能力を考慮すれば、マイクロソフトとの取引が「安売り」になるのは疑いようもない。
買収を行うかどうかについて、トランプ大統領の立場は二転三転している。ある匿名の米国国家安全保障関連の高官によると、TikTokを蚊帳の外に置いた交渉方式は「取引の芸術」なのだという。
従って、なぜマイクロソフトがわざわざ米国政府に感謝したのかは容易に理解できる。この取引が成立すれば、マイクロソフトは極めて安いコストでソーシャルメディア分野に進出し、新たな消費者業務を開拓できるからだ。これまで彼らはこの分野でまったく実績がなかった。
しかしこの大規模な取引は自発的なものではなく、トランプ政権の干渉によるものだ。自由競争はここでは絵空事になってしまった。
TikTokのライバルであるフェイスブックはさらに耐え難いだろう。中国への責任転嫁はさておき、フェイスブック傘下のインスタグラムは、TikTokと同様にユーザーがショート動画をシェアできるよう、「TikTokの模倣版」である「Reels」を打ち出そうとした。これより前に彼らが打ち出したもう一つの模倣サービスである「Lasso」はすぐに失敗に終わっている。
米国監督管理当局はその模倣行為を不問にした。知的財産権保護において、意外にも相手によって違った対応が取られていることは、極めて皮肉というほかない。
中国企業叩きの裏側にある米国の思惑