中国外国為替取引センターのホームページによると、8月31日の人民元対米ドルレートの中間値は286ポイント上昇し1米ドル=6.8605元で、2019年7月2日以来の最高を更新した。
これを受け、為替レート直物市場では、オンショア人民元対米ドルレートの同日16:30の終値は6.8535元となり、前取引日より116ポイント上昇した。国際投資家の予想値をより反映できるオフショア人民元対米ドルレートは一時6.8467元まで上昇した。
過去3カ月、人民元レートは上昇し続け、1米ドル=7.1765元から6.85元まで4%以上も上昇した。
アナリストは、人民元高の理由として、中国経済のファンダメンタルズが良いこと、中米間の金利格差が拡大していること、米ドルの弱含み傾向が続いていること、中国の国際収支黒字が増加していることなどを挙げた。
浙商証券の李超首席エコノミストは、最近の急激な人民元高は、新型コロナウイルス感染症発生後、中国経済が真っ先に回復していることや、中国のファンダメンタルズが米国より優れていること、中国が短期的流動性の引き締めを行ったことにより金利が上升し、中米金利差が拡大したこと、4月以降、中国の外貨準備高が4カ月連続で増加し、良好な国際収支の見通しが人民元対米ドルレートを支えていることが主な要因だとの見解を示した。
人民元レートの先行き見通しについて、東方金誠研報は「8月以降、人民元高の傾向が続いているが、レート安定推移のファンダメンタルズは弱まることがないことから、人民元高は今後も続く」と話す。
東呉証券の李勇アナリストは、「今後一定期間において人民元の上昇が続くが、急激な人民元高が長く続くことはなく、人民元対米ドルレートは一定の均衡水準付近で双方向の変動を維持しながら小幅上昇する展開になるだろう。これは世界の経済見通しの不確実性が国内経済に影響したほか、グローバルのドルへのリスクヘッジ需要があるためだ」としている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2020年9月2日