感染症の打撃を受けて、各国の中央銀行は資金を投入し、紙幣の印刷を再開し、世界の主要エコノミーがこぞって大規模の財政金融活性化を打ち出した。中国人民銀行(中央銀行)通貨政策委員会の委員を務める清華大学金融・発展研究センターの馬駿センター長は、「専門家の試算によれば、世界で10兆ドル(1ドルは約106.1円)規模の財政活性化措置が打ち出される可能性がある。10兆ドルのうちのかなりの部分が投資に充てられ、さらに関連する金融資源を加えれば、これは非常に大きな資金になる」と述べた。
感染症の流行中に、一部の国の財政政策と通貨政策が融合し合い、支え合った。政府は財政資金による救済を行おうとしているが、財政収入は感染症のため減少し、救済したくてもできない状況だ。各国の中央銀行は支援措置を打ち出し、政府債すなわち国債を購入した。
これは毒を飲んで渇きを癒やすようなものかもしれない。中国国際研究有限公司の曹遠征会長は、「グローバル経済がさらに衰退すれば、第3四半期(7-8月)は第2四半期(4-6月)よりもさらに深刻な状況になり、各国は資金投入を迫られるが、どの国も死にそうな状態だ。資金を投入しなければどうすればよいか。人命は何よりも大事で、たとえ毒薬でも飲み続けるしかない」と述べた。
各国の中央銀行は紙幣を印刷して、国債を購入し、従来の財政政策や通貨政策が打撃を受け、それにともなって溝が生まれている。劉氏は、「感染症に直面して、各国が通常の規模をはるかに上回る通貨政策、財政政策を取ったのは当然のことだ。しかしこれからの道のりはなお遠く、まだ底には達しておらず、『ヘリコプターで紙幣をばらまく』ような極端なやり方はするべきでない」と述べた。
感染症の打撃を受けて、グローバル化が挫折し、国際協調がより困難になった。国際資本の流動は「頭のないハエ」のように、行き当たりばったりのものになった。
グローバル化のコストが過度に強調される一方で、国際協力の優位性と長所が過度に低く評価されている。スペンス氏は、「多国間を捨てて、二国間にすれば、大国は自国の利益を保護しやすくなり、最も損害を受けるのは小国、特に貧しい国になるだろう。多国間主義は大きく張り広げたテントのようなもので、大国も小国も、豊かな国も貧しい国も、どの国もテントの下で自分の居場所を見つけられる。小国や貧しい国をテントの外に追いやり、成り行きに任せるというものではない」と述べた。
感染症の打撃を受けて、グローバル化の大型テントがなくなれば、そうした低所得国はどうやって雨風をしのげばいいだろうか。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年9月20日