月探査機「嫦娥5号」と共に宇宙を旅した約1500粒の種籾が発芽し、すくすくと育っている。華南農業大学の温室で、柔らかくみずみずしい苗が空に向かい成長している。今月中にも温室を出て、田に植えられることになる。
この計40グラムの宇宙種籾は昨年11月、嫦娥5号に乗り月に上陸した。約23日、76万キロの「月周回旅行」後、華南農業大学国家植物宇宙育種工程技術研究センターに戻り栽培された。これは国内で現在唯一の植物宇宙育種国家級プラットフォームでもある。
同センターの陳志強主任は、「これまでと異なり、今回搭載されたのは世界で唯一の月周回深宇宙突然変異誘発研究で、稲の種子の深宇宙搭載の初の突破を実現した。種子は搭乗中、微小重力や太陽フレアなどの特殊な環境に置かれる。これは種籾の遺伝子変異に影響を及ぼし、極めて得難いことだ」と説明した。
同センターの郭涛副主任によると、これらの種子には4万個の遺伝子が含まれる。遺伝子は深宇宙環境で変化するが、その特定方向の追跡により、利用可能な優れた遺伝子を発見できるという。
業界内の専門家によると、この深宇宙搭載された宇宙稲には、極めて高い科学研究の価値がある。同センターは稲の種子によりモデル生物の深宇宙環境への反応に関する分子・遺伝メカニズムへの理解を深め、命の起源、種の進化、宇宙生物安全に理論の支えを提供する。また重要な価値ある一連の新たな優良遺伝子を発見し、重要遺伝子利用技術体制を構築し、稲の品種選択・栽培に貢献する。研究開発のほか、今回の搭載により中国の「種子安全」に「国産種子チップ」を提供することが期待されている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月21日