半導体は世界のすべての電子機器の「ブレイン」だが、昨年よりその不足の深刻化が続いている。英紙「ガーディアン」(電子版)が21日に伝えた。
問題は当初、新型コロナウイルス発生後の操業停止による一時的な供給の遅れに限られていた。
現在すでに操業再開されているが、人々が感染症により生活と仕事の習慣を変えたことで新たな需要が激増し、半導体の不足が深刻化している。
自動車メーカーによる技術集約型の電気自動車への投資、テレビ及びパソコンの販売の激増、新型ゲーム機や5Gスマホの発売が半導体の需要を生んだ。
時価総額が2兆ドルにのぼる業界大手の米アップルも昨年、供給不足により宣伝に力を入れていたiPhone 12の発売時期を2カ月延期した。アップルの毎年の半導体購入額は580億ドルにのぼり、世界最大の買い手となっている。
フォードは最近、自動車工場2軒の生産を2班削減し、半導体不足による今年の損失が25億ドルにのぼると発表した。日産はメキシコと米国の工場の操業を停止している。ゼネラル・モーターズは20億ドルの損失を見込んでいる。
ソニーは先月、半導体の供給問題により、新型ゲーム機「プレイステーション5」の今年の販売目標の達成が困難と表明した。
半導体の危機が最も深刻なのは、韓国のサムスン電子だ。サムスンはアップルに次ぐ世界2位の半導体購入者で、世界2位の半導体メーカーでもあるが、先週の段階で供給不足によりハイエンドスマホの発売延期を余儀なくされる可能性があると発表した。
カンプリン氏は「サムスンの半導体の年間売上高は560億ドルにのぼり、うち360億ドル分を自社製品に使用しているにも関わらず、自社製品の発売延期を迫られるとは異例の事態だ」と述べた。
サムスンの携帯電話事業を統括する高東真(コ・ドンジン)共同最高経営責任者は重要な問題を強調し、限りある半導体の供給を待つ順序に「深刻な不均衡」があると指摘した。
カンプリン氏は「影響が最も深刻なのは、その最後列に並ぶ自動車メーカーだ」と述べた。
半導体不足は今後一定期間続く。複雑な半導体を生産する工場の竣工及び稼働開始までには2年かかる。半導体メーカーは1年のうちに2回、大幅な値上げに踏み切った。
カンプリン氏は「現時点では供給が追いつく、もしくは需要が減少する兆候は見られない。同時に産業チェーン全体の価格が上がっており、一般人に転嫁されることになる。自動車がさらに高くなり、携帯電話も高くなるだろう」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月24日