新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、先行きの見通しは今なお不透明であり、世界の産業分業や貿易協力、人的文化的交流への影響がさらに長期化すると懸念される。一国主義や保護主義、覇権主義が世界の平和と発展にもたらす脅威は依然として深刻であり、貿易摩擦や地域紛争、大国間関係とも波乱含みの様相を呈している。
こうした中、中国は「十四五(第14次5カ年計画、2021~25年)」の最初の年を迎えた。国際社会の有識者らは、中国の「十四五」と「2035年の長期目標」からは世界が抱えるさまざまな問題に取り組むための自信と意欲が感じられるとして、次のような見方を示した。
1、中国経済のファンダメンタルズは良好であり、安定した成長基調を維持している。
需要サイドから見ると、中国は世界の市場であり、膨大な消費ポテンシャルを秘めている。供給サイドから見ると、中国は世界の工場であり、あらゆる産業分野が揃い、産業チェーンやサプライチェーンは安定性も高く、強靭さも併せ持っている。規模的に見ても、中国は世界第2位の経済大国であり、世界経済をけん引する役割は年々高まっている。
カナダを本拠とする大手金融サービス、マニュライフ・ファイナンシャル・グループの社長兼CEOロイ・ゴリ氏は、2025年までに同社のコア利益に占めるアジア事業の割合は50%以上と寄与度率が高まると予想。中でも中国事業が重要な役割を担うとの見方を示した。
2、世界の持続可能な発展に対する中国の役割は今後より顕著になる。
「十四五」と「2035年の長期目標」の第14次5ヵ年計画の要綱からは、CO2排出量のピークアウトとカーボンニュートラルの目標を達成するという中国の確固たる決意がうかがえるほか、方針の明確さも見て取れ、世界のグリーン成長のプロセスを大きく推進していくことだろう。
中国が世界の持続可能な発展に貢献していることは、都市部と農村部の所得格差の縮小からもうかがえる。「十四五」期間中、中国は地域や都市部と農村部の所得格差を縮小するために意識的に主導していくだろう 。
ノーベル経済学賞を受賞したアンガス・ディートン米プリンストン大学教授は、世界各国が自国の公共サービスや所得面での格差を縮小することは、世界的な保護主義思想の蔓延を抑制し、ひいては国家間の格差を大幅に縮小することにつながるとの見方を示した。