11日に発表された第7回全国人口調査の結果によると、中国の人口は昨年14億1000万人に達し、世界の総人口の約18%を占め世界一の人口大国を維持した。ところが中国の高齢化の進行、都市化率の上昇、東北地区の過去10年間の人口減も広く注目を集めている。これらは中国の今後の経済発展にどのように影響してくるのだろうか。
「シルバー経済」に大きな発展の余地
第7回全国人口調査の結果によると、中国の高齢者は現在多く、60歳以上が2億6000万人にのぼっている。うち65歳以上は1億9000万人。2010年と比べると、16-59歳の生産年齢人口が4000万人余り減少した。国家統計局の寧吉喆局長は、「高齢化は今後一定期間に渡る基本的な国情で、課題であるがチャンスもある。高齢化はシルバー経済の発展を促進し、高齢者向けの商品とサービスの消費を拡大し、技術の進歩を促す」と述べた。
長期的に中国の人口を研究する中泰証券の李迅雷チーフエコノミストは、「環球時報」の記者に「一国の高齢化には通常、経済成長率の低下が伴う。日本、ドイツ、韓国も例外ではなかった。しかしこれはその国の経済のモデル転換の成功を妨げない。労働力の減少がこれらの国に生産力の向上、ハイエンド製造業及びサービス業のさらなる発展の模索を迫るからだ」と述べた。
東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授は11日、「環球時報」のインタビューで「経済が発展している国ほど少子高齢化の問題に直面しやすい。中国と日本は関連分野で協力できる。すでに一部の日本企業が中国で高齢者向けマンションなどを作っている」と述べた。
東北振興は他地域と重複しない発展を
東北地区は今回の人口調査結果で注目されている話題だ。データによると、東北3省の昨年の人口は9851万人で、1億人弱と依然として多いが、10年前と比べると1101万人の減少だった。また東北3省のGDPが全国に占める割合が年々低下している。
李氏は、重工業を中心とする東北経済の、全国の経済モデル転換における重要性が徐々に低下するのは正常とした。「かつて米国の東部は経済が非常に発展していたが、今や西海岸に抜かれた。五大湖地域のデトロイトはかつて一世を風靡した自動車都市だったが、今やラストベルトになっている。東北の経済成長率は近年低めだが、これは東部の発展している省と比べてであり、東北経済が不調であるというわけではない。東北経済の振興は東部の発展している省を模倣し、インターネットや半導体産業に取り組む必要はない。東北は他地域と重複しない発展を目指し、大規模栽培業や設備製造業の強化など、地域の強みを立脚点とするべきだ」
都市化率の上昇、農業のメリットに
人口調査の結果によると、中国の都市部人口が占める割合は10年間で14.21ポイント増加し、63.89%に達した。1億人以上が農村部から都市部に流入した。中国の都市化率は現在、世界の「中の上」の水準に達しており、中国人の1人あたりGDPが世界の「中の上」の水準に達している状況とほぼ一致している。
李氏は「現在の都市化率のペースによると、中国の都市化率は2028年頃に70%に達する見通しだ。農村の人口減は、現代化農業の発展のメリットになる。先進的な科学技術とインターネットが都市部から持続的に農村に浸透し、特に農業と結びつくことで農村の経済発展を力強く刺激する」と判断した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年5月12日