中国が独自に開発した海底大深孔保圧コア掘削機システム「海牛Ⅱ号」はこのほど、水深2000メートル超で231メートルのコアを掘削し、世界の深海海底ドリル掘削深度の記録を更新した。これは、中国が同技術分野において世界トップ水準に達したことを示している。人民日報が伝えた。
海牛Ⅱ号は、湖南科技大学の万步炎教授を中心に開発された。万氏によると、海牛Ⅱ号は海底ドリル本体、海底その場探査機、移動型海底ドリル関連装置投入・回収システムなどからなる。「そのうちドリル本体の外観は橙色、八角形の鉄骨構造で、高さ7.6メートル、『ウエスト』10メートル、体重12トン。中国の水中で現在最も重い地質調査・科学探査装置だ」と万氏。
動作が鈍そうに見える海牛Ⅱ号だが、海底ではフレキシブルに活動する。その「武器」は78本の長さ3メートルのドリルパイプで、リボルバーの弾のようにディスク上に並んでいる。操作時にはディスクが回転し、ロボットアームがドリルパイプを抜き取り、岩層に1本ずつ打ち込む。
「ドリル」は海牛Ⅱ号の「角」に相当し、ダイヤモンドや超硬合金などで作られている。科学研究者は硬岩層向け、堆積岩軟岩層向けなどの異なる種類のドリルを設計した。
深く掘削するほか、海牛Ⅱ号には保圧コア掘削という唯一無二の技がある。これはメタンハイドレートなどの海底鉱産物の調査の鍵になる。万氏によると、メタンハイドレートは水圧を受けて氷状になるが、それに適した水深から出ると水圧が下がることで気体になり揮発する。そのため一般的な深海ドリルではメタンハイドレートを掘削できず、海底地層と同等の水圧を保たなければならない。
これまで世界の海底ドリルの設計上の最大掘削深度は200メートルだったが、実際の保圧コア掘削作業の最大深度は135メートルにとどまった。一方で、海牛Ⅱ号はこの記録を大幅に更新した。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年5月17日