中国四川省成都市でこのほど、環境配慮型の建築について話し合う「2021第17回国際グリーン建築・建築省エネ大会と新技術・製品博覧会」が開かれた。会期中、不動産開発を手掛ける朗詩控股(ランドシー・ホールディングス)の田明董事長は取材に応じ、中国が掲げる炭素排出ピークアウトとカーボンニュートラルという二つの脱炭素目標について、次のように語った。
「中国は、2030年までにCO2排出量を減少に転じさせる『ピークアウト』と、60年までに実質ゼロにする『カーボンニュートラル(炭素中立)』の二つの脱炭素目標を掲げている。この二つの目標は、中国が長年提唱してきた『省エネ・排出削減』の取り組みに沿ったものだが、真に目標を達成するのであれば、業界に根付いた固定概念を覆すだけでなく、市場の原動力も強化する必要がある。同時に、関連業界の管轄当局も、現在の指導方針を見直し、調整しなければならない。
中国は、目標達成を目指して努力している。ピークアウトとは炭素排出の伸び率を抑制することだが、炭素排出量のピーク値を抑えることで、緩やかにカーボンニュートラルの達成が可能となる。仮にこれを効果的に抑制できなければ、近い将来、排出量が大幅に高まる可能性があり、そうなるとカーボンニュートラルの達成は非常に厳しくなるだろう。
今回の会議では、中国の気候特使を務める解振華氏が、建築業界の運営や建設、材料の生産など、建築業界全体から出される炭素排出量は社会全体の排出量の約5分の2を占めていることに言及した。多くの専門家らも、こうした大量の排出を速やかに規制しなければ、ピークアウトのいうピーク値は非常に高い値になるだろうとの見解を示した。
中国にある建築物の大半は老朽化し、エネルギー消費量が多く、運用レベルも低いため、リノベーションするには技術的に大きな困難が伴う。こうした現状を踏まえた上で、いかにして排出量を抑制するかは、二つの脱炭素目標を達成する上で厳しいハードルになっている」