炭酸飲料市場での拡張は難しいのだろうか。米コカ・コーラは中国市場でアルコール飲料を売り出すことを考えている。しかし業界のウォッチャーによると、アルコール飲料を売り出すことで市場の注目を集め、細分化された市場でパイの分け前にあずかれるかもしれないが、次の「コーラ商品」につながるわけではない。コカ・コーラは現在、「総合飲料」戦略の時代に入ったが、おそらく苦しい転換期を迎えることになるだろうという。「広州日報」が伝えた。
利益が伸びないコカ・コーラー、値上げをした後にアルコール飲料を販売することに
コカ・コーラはこのほど出した通知の中で、中国市場でアルコール入り炭酸飲料のハードセルツァーを初めて売り出すとし、今月この新製品のブランドの天猫(Tmall)旗艦店で販売をスタートし、その後より多くのECや新小売ルートに相次ぎ進出する計画であることを明らかにした。業界の見方によると、コカ・コーラがこの時期に中国市場進出を選択したのは、今年の夏の飲料品の繁忙期にアルコール飲料市場でパイを獲得しようと考えているからだと考えられる。新興の細分化された市場がまだ発展の初期段階にあることを考えると、このタイミングで進出すればコカ・コーラは市場の獲得がより容易かもしれない。中国の成熟した広大なアルコール類市場及び歴史ある酒文化を背景に、コカ・コーラはアルコール販売に大きなビジネスチャンスがあると見込んだのかもしれない、という。
分析によれば、コカ・コーラにとって次の「コーラ商品」を見つけるまで、主業務をどうやって維持するかが依然として大きな問題だ。現在は売上高の伸び悩みや原材料コストの上昇といった圧力に直面する。より多くの種類の飲料品に投資すると同時に、炭酸飲料業務の苦境を救う方法も模索しており、その中には直接的に製品の利益を確保し、値上げをすることも含まれる。先にコカ・コーラのジェイムズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は、「コモディティ価格上昇の影響に対応するため、当社は飲料品の価格を引き上げる。アルミ缶の不足は来年に緩和される見込みで、プラスチック、アルミ、ジュース、コーヒーなどの分野にはインフレ圧力がかかり、異性化糖(HFCS)にもインフレの兆しが見られる。インフレは今年はコントロールできるが、来年は大きな挑戦になり、米国でも世界規模でも今年第2四半期(4-6月)に価格上昇が始まるかもしれない」と述べた。
マオタイなど伝統的アルコールメーカーが低アルコール飲料市場へ一挙に進出
次のような状況もある。中研研究院が発表した「低アルコール飲料業界の市場の見通しと現状の分析2020」によると、ここ2年間に中国の低アルコール飲料市場の売上高は増加率が50%を超え、天猫に新登場した低アルコールブランドだけでも5千種類を超える。また低アルコールの細分化された市場の1つであるハードセルツァーの市場が急速に拡大している。
コカ・コーラだけではなく、中国の伝統的アルコールブランドも相次いで低アルコールの競争に乗り出した。マオタイ酒は2017年に低アルコールカクテル「悠蜜」を発売し、おととしにも「悠蜜」シリーズのブルーベリー酒を売り出している。瀘州老窖はフルーツワイン会社を立ち上げ、おととしに「青語」、「花間酌」、「拾光」の3種類の低アルコールフルーツワインを、昨年に「仕女図鑑青梅果実酒」を売り出した。江小白はアルコール度数が12度しかない青梅酒ブランド「梅見」を打ち出した……
低アルコール関連の産業チェーンに資本も集まる。低アルコール発酵飲料メーカーの賦比興は数ヶ月で3回目の資金調達を完了し、調達額は累計数千万元(1元は約17.2円)に達した。同社の製品開発は低アルコール飲料の80%をカバーしている。ブランドが林立し、資本も集まるが、業界には「現在の中国の低アルコール飲料業界は依然としてブランドが粗放型の成長をする初期段階にある」との見方を広がる。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年6月6日