世界的な半導体不足の危機が昨年、深刻化した。デロイトトーマツがこのほど発表した報告書によると、半導体不足は今年も続き、リードタイムが約10-20週間に延びる見通しだ。来年の年初になり状況がようやく改善されるという。
新型コロナウイルスにより、半導体製造業が集中する米国、東南アジア、韓国、日本の生産能力が昨年、大きな衝撃を受けた。米テキサス州で寒波が発生し、日本の茨城県の半導体工場で火災が発生し、半導体業界をさらに苦しめた。
2019年であれば、半導体の正常なリードタイムは6-9週間だった。市場分析機関のSusquehanna International Groupが発表した研究によると、昨年7月の段階で半導体の平均的なリードタイムが19週間に延びており、10月には22週間に延びた。12月は11月より6日延び約25.8週間。これは同社が2017年にデータ追跡を開始してから最長となった。
半導体不足の影響が極めて深刻なのは電子業界だ。例えばアップルの昨年の「iPhone 13 Pro」シリーズと「Macbook Pro」のリードタイムはいずれも2-4週間延びた。自動車産業も同じ衝撃を受けている。米コンサルティング会社のアリックスパートナーズが発表した予測によると、半導体不足により昨年の世界の自動車業界の収入が2100億ドル減少し、昨年の世界の自動車生産台数が770万台減少する見通しだ。
インドの自動車メーカーであるマルチ・スズキ・インディアは、昨年12月の販売台数が前年同月比で4%減になったと報告した。業界全体が現在直面している半導体及び電子部品の供給不足の問題に大きな改善は見られず、今後一定期間続くという。
各種半導体の長期的な不足は、感染対策としての規制措置がメーカーの生産能力と物流に衝撃を及ぼしているほか、企業による急激なデジタル化モデル転換、消費者向けの電子機器の需要の激増による影響もある。デロイトトーマツは、各価格帯の半導体が今年、全面的に高騰すると予想。新型半導体の需要を満たすため、半導体市場の投資が活況を呈している。デロイトトーマツは、今年はベンチャーキャピタルが半導体スタートアップ企業に60億ドル超投資すると予想している。
インテルのゲルシンガーCEOは、半導体不足が来年まで続くと予想している。AMDのペーパーマスターCTOも、半導体業界の需給バランスが最終的に整い、半導体不足が収まるのは来年になると予想。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月9日