昨年の中国経済は予想を上回る成長で、国内総生産(GDP)が前年比8.1%増で114億元を超えた。今年は拡大を続ける減速の圧力を受け、中国は世界経済の「けん引車」の役割を演じ続けられるだろうか。中国新聞社主催の国是フォーラム「2022年中国経済情勢分析会」に出席した複数の専門家は、今年の中国経済の安定成長には依然として5つの支えがあるとの観点を示した。
(一)インフラ投資が大幅に加速へ
国務院参事室客員研究員で、国家統計局の元チーフエコノミストである姚景源氏は、「需要の縮小は中国経済の減速の圧力の主な出処だ。今年は内需を拡大し、消費の潜在力を引き出すほか、投資も重要になる」と述べた。
中国の昨年の固定資産投資は前年比4.9%増で、うちインフラ投資は0.4%増に留まった。姚氏によると、インフラには高速鉄道、高速道路、大型河川の整備、耕作地の水利施設、都市交通建設などの各分野が含まれ、過去の主な成長源だった。かつて中国のインフラ投資の伸び率は20%以上にのぼった。しかし昨年は物価要素を考慮すると、インフラ投資はマイナス成長となった。
姚氏は、中国は今年インフラ投資を拡大し、一部の重大プロジェクトを事前に手配すると見ている。そのためには需要を縮小から拡大に切り替え、経済減速の圧力を和らげる必要があるという。
この兆しはすでに顕在化している。昨年下半期より地方政府特別債の発行ペースが上がり、中央予算内の投資の進捗が早まっている。第14次五カ年計画が確定した102件の重点プロジェクトが次々と始動しており、「両新一重」プロジェクトの建設が秩序正しく進められている。
(二)新たな減税・費用削減が開始か
中国財政科学研究院の研究員で元副院長の白景明氏はフォーラムの席上、「今年の財政支出は一定の強度を保つ。財政赤字や地方特別債などは一定の規模を維持する。政策が急カーブすることはない。また今年は新たな減税・費用削減政策が実施される。市場主体の負担を軽減し、市場主体の活力を引き出す」と述べた。
(三)金融政策の自主的な余地が大きい
中銀証券世界チーフエコノミストの管濤氏は、今年の中国の金融政策は「安定優先、自国中心」を堅持するとの見方を示した。実体経済直達、中小及び零細企業向け貸付、地域発展、グリーンな発展といった機関的ツールが引き続き使用されるほか、今年は需要があれば預金準備率と金利引下げといった総量ツールも使用できるという。中国はその他の主要中央銀行と比べると、金融政策が正常な状態である少数の経済体だ。そのため正常な金融政策は中国の「負債」ではなく「資産」だというのだ。
管氏は、今年の中米金融政策のさらなる二極化が、中国の「自国中心」の金融政策及び操作の妨げになることはないと見ている。今回の感染拡大への対応において、中国の金融政策は先手先手で対応し、民間の金融ミスマッチが大幅に改善された。2015年8月11日の為替レート改革後に元高が進行し、柔軟性が上がった。そのため人民元レートの上下の変動に対する市場主体の適応性と許容力が大幅に上がり、自主的な金融政策の余地が残された。
(四)RCEP、中国の貿易安定成長の重要な支えになるか
昨年の中国の貿易は好調で、貿易額が初めて6兆ドルの大台に乗った。商務部研究院学術委員会副主任の張建平氏は、2022年を展望すると中国の貿易には試練とチャンスがあると述べた。
試練については、世界の感染拡大が収束していないことがある。これに大口商品の原材料価格と国際海運費の高止まりが加わり、基準値となる昨年の貿易額が大きかったことから、今年の貿易運行は大きな圧力に直面するという。
しかし張氏によると、今年の年初に東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定が正式に発効したが、この世界の特大規模の一体化市場が大きな貿易創出効果、投資拡大効果、雇用増効果をもたらし、中国の貿易安定成長に向け非常に重要な支援力を発揮するという。
(五)不動産市場に潜在力あり
昨年下半期に中国の不動産市場が急速に冷え込み、投資や販売などの各種指標の伸び率(累計)が下がり続けた。不動産には成長の余地が残されているのだろうか。
中国社会科学院都市・競争力研究センター主任の倪鵬飛氏は、不動産には今後の構造最適化と質向上の大きな潜在力があると見ている。総量を見ると、不動産の規模は成長を維持する可能性がある。一部の人口流入都市の住宅の需要が増加を続ける。また質も向上する。中国の1人平均居住面積はすでに40平方メートルに達している。しかし関連施設、環境、サービスにはまだ大きな開きがあり、改善が必要だという。
また一部の人気地域において、若者及び新市民による賃貸住宅の需要が徐々に満たされ、最適化される。全体的に見ると、構造最適化と質向上により不動産には今後の潜在力が残されているという。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月17日