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japanese.china.org.cn |19. 01. 2022 |
〈中国都市総合発展指標2020〉から見た中国都市のパフォーマンス 趙啓正、楊偉民、周其仁、邱暁華、周南、周牧之によるレビュー
2.コロナ禍パンデミック下、中国都市の強靭さ
2020年世界最大のテーマは、新型コロナウイルス対策であった。〈中国都市総合発展指標2020〉は、中国各都市の感染症対策と経済回復におけるパフォーマンスを、環境・社会・経済の視点から多元的に評価した。
新型コロナウイルスの流行そのものについては、2020年中国における新規感染者(海外輸入感染症例と無症状例を除く)の80.8%が、新規感染者数上位10都市に集中した。武漢を始め同10都市はいずれも湖北省の都市である。これは、中国が迅速なロックダウン(都市封鎖)措置とゼロ・COVID-19 感染者政策(Zero COVID-19 Case Policy、以下ゼロ・コロナ政策と略称)で流行を早期に収束させ、他の都市で爆発的な感染拡大が起きなかったことを意味している。
(1)日常生活の逸早い回復で世界最大の映画市場に
ゼロ・コロナ政策は、早期に流行を収束させ、市民生活を迅速に回復させた。新型コロナウイルスパンデミックで最も打撃を受けた分野の1つは映画興行であった。中国では、2020年の映画興行収入が前年比68.2%も急落した。 だが幸いなことに新型コロナウイルスの蔓延を迅速に制圧したことで、中国映画市場は急速に回復した。
一方、これまで世界最大の映画興行収入を誇ってきた北米(米国+カナダ)は、新型コロナの流行を効果的に抑えることができず、2020年には映画興行収入が前年比80.7%も急減した。
その結果、世界で最も速く回復した中国の映画市場が、映画興行収入で世界トップに躍り出た。
特に注目すべきは、中国では新型コロナ禍でも、スクリーン数や映画館数が減るどころか増えていたことである。中国のスクリーン数は、2005年の2,668枚から2020年には75,581枚へと、28倍にもなった。
映画市場の急回復に支えられ、2020年は中国国産映画の興行成績が非常に目を引く年であった。「Box Office Mojo」によると、2020年の世界興行ランキングで中国映画『八佰(The Eight Hundred)』が首位を獲得した。また、同ランキングのトップ10には、第4位にチャン・イーモウ監督の新作『我和我的家郷(My People, My Homeland)』、第8位に中国アニメ映画『姜子牙(Legend of Deification)』、第9位にヒューマンドラマ『送你一朶小紅花(A Little Red Flower)』の中国4作品がランクインした。また、歴史大作『金剛川(JingangChuan)』も第14位と好成績を収めた。中国映画市場の力強い回復により、多くの中国映画が世界の興行収入ランキングの上位にランクインした。
2005年以来、中国における映画興行収入に占める国産映画の割合は50%から60%の間で推移していたが、2020年には一気に83.7%まで上昇した。
コロナ禍が効果的に抑制されたことで、中国の映画興行収入はさらに上昇すると期待される。世界最大の興行市場になったことで、中国国産映画も輝かしい時代を迎えるだろう。
(2)航空輸送で旅客は激減、貨物は微減
航空輸送も新型コロナパンデミックで大きな打撃を受けた分野である。特に、長引く海外旅行規制の影響で国際旅客が激減した。幸い、中国で新型コロナの流行は逸早く抑えられたため、国内の航空輸送は早期回復した。結果、2020年の中国空港旅客数は36.6%減少したものの、欧米や日本などの国々と比べ減少幅は比較的小さかった。
2020年の中国空港旅客数の上位10都市は順に、上海、北京、広州、成都、深圳、重慶、昆明、西安、杭州、鄭州である。中国の空港旅客数に占める上位10都市の割合は44.9%、さらに同上位30都市の割合は75.5%にも達した。中国の航空輸送は中心都市に集中している。
空港旅客数に比べ、2020年中国の空港航空貨物取扱量は6%減にとどまった。中国空港航空貨物取扱量の上位10都市は順に、上海、広州、深圳、北京、杭州、鄭州、成都、重慶、南京、西安となっている。このうち、深圳、杭州、鄭州、南京の4都市では、航空貨物取扱量が増加した。これはコロナ禍でも物流が活発に行われ、製造業サプライチェーンも迅速に回復したことを示している。中国の航空貨物取扱量に占める上位10都市の割合は72.8%、さらに同上位30都市の割合は92.5%にも達した。航空旅客輸送と比較して、航空貨物が中心都市に集中する傾向がさらに顕著である。