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japanese.china.org.cn |19. 01. 2022

〈中国都市総合発展指標2020〉から見た中国都市のパフォーマンス 趙啓正、楊偉民、周其仁、邱暁華、周南、周牧之によるレビュー

タグ: 都市
中国網日本語版  |  2022-01-19


 邱暁華 雲河都市研究院副理事長、中国国家統計局元局長

 

〈中国都市総合発展指標2020で印象深いことは4点ある。第1点は、都市の経済力が、やはりその都市の地位を決める決定的な要因である。経済発展が都市の未来を作る。2点目は、グリーン要素がますます重要になり、環境に配慮した変革が積極的であればあるほど、都市が発展する。3点目は、新型コロナ感染症の発生は経済社会の発展に影響を与え、人々の生活に影響を与えるが、都市の緊急事態対応力も試されており、総合ランキング上位の都市はその点で比較優位に立っている。4点目は、中国は新たな発展段階に入り、新しい発展モデルの構築を加速している。都市の発展もメガロポリスの構築へと移行し、中心都市が主役になる時代が始まった。中国の都市がより好循環な発展モデルを形成することを期待したい。

 

 周南 中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司副司長、一級巡視員

 

2020年、突如として発生した新型コロナパンデミックが、世界経済社会のリズムを崩壊させた。中国はコロナ感染症対策、経済発展、社会安定という「同時実現が不可能なトライアングル」に苦心し、見事な答えを出した。〈中国都市総合発展指標2020によると、2020年のGDP上位30都市は、武漢を除き、すべて15%の経済成長を実現したことがわかる。中国の成績と海外主要国における混乱は対照的である。


地域発展という点では、長江デルタと珠江デルタの両メガロポリスが、経済、環境、社会の全般で明確な優勢を保っている。〈中国都市総合発展指標2020の総合ランキング上位100都市のうち、長江デルタは21都市、珠江デルタは12都市を占める。同上位10都市には長江デルタが4都市、珠江デルタが2都市ランキング入りし、その優位性が際立っている。メガロポリスや大都市圏の役割がますます重要になり、地域を牽引し、国際競争の土台となっている。


総合ランキングは全体的に安定している一方、いくつかの一喜一憂がある。前年度と比較すると、2020年には長江中游メガロポリスに属する合肥が第26位から第21位、株洲が第71位から第68位、九江が第98位から第89位と、上昇した。その一方で、北方地域における都市の順位は大きく下がっている。〈中国都市総合発展指標2018〈中国都市総合発展指標2020〉の総合ランキングを比較すると、3年間で瀋陽は第19位から第26位、ハルビンは第29位から第34位、長春は第30位から第36位に後退している。銀川は第67位から第81位へ、フフホトは第56位から第82位へと順位を下げた。この一連の順位変動は、「時流に逆らって進まなければ後退する」ことを鮮明に物語っている。


〈中国都市総合発展指標〉の「中国都市製造業輻射力2020」から、製造業における都市の位置付けがより鮮明になってきた。メガシティでは一部の製造業が分散化され始めた。2020年には上海と広州が製造業輻射力において2018年比でともに2位ダウンしている。他方、成都、西安、南京、無錫が製造業輻射力を47位アップした。


〈中国都市総合発展指標〉の「中国都市IT産業輻射力2020」では、武漢と廈門IT産業輻射力でトップ10入りし、IT産業の中心都市への集中がさらに進んだ。


完全無欠な指標というものは存在しない。しかし、〈中国都市総合発展指標〉を尺度に、水平的には都市間の比較優位性を、垂直的には都市の発展度合いを明快に測ることができる。熟読すれば、さまざまな視点からの思考を刺激してくれる。少なくとも、私にとってはそうである。

 

 周牧之 東京経済大学教授

 

新型コロナパンデミック以来、雲河都市研究院は、感染症対策の有効性と都市の経済回復について高い関心を寄せてきた。 2020417日には逸早く、レポート「新型コロナパンデミック:なぜ大都市医療能力はこれほど脆弱に?(原題:新冠疫情冲全球化:强大的大都市医能力何如此脆弱?)」を発表している。同年1111日は、論文「ゼロ・COVID-19感染者政策Vs.ウイズ・COVID-19政策(原題:全球抗新冠政策大比拼:零新冠感染病例政策 Vs. 与新冠病毒共存政策)」を発表し、中国の新型コロナウイルス対策と欧米や日本の政策とを体系的に比較した。「ゼロ・コロナ」の報告書や論文は、日本語・中国語・英語で国際的に発表され、中国の感染症政策の有効性に対する国際的な理解と評価に一役を買った。


同時に、雲河都市研究院は、フォーラム、セミナー、対談などを通じて内外のトップクラスの専門家とともに、新型コロナパンデミックがグローバリゼーション、国際大都市、グローバルサプライチェーン、IT産業、娯楽産業、航空産業、海運産業などに与える影響を研究・議論してきた。


〈中国都市総合発展指標2020は、過去4回発表した〈中国都市総合発展指標〉をベースに、都市の感染症対策の効果やパンデミックが関連産業に与える影響に焦点を当て、パンデミック下の中国都市に関する「健康診断」を届けるものである。


〈中国都市総合発展指標2020は、中国経済の底力が主要都市の強靭さにあり、効果的な感染症対策が中国都市の発展を保障していることを示している。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年1月19日

 


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