中国人民銀行(中央銀行)は25日、金融機関の外貨資金の運用能力を高めるため、2022年5月15日より金融機関の外貨の預金準備率を1ポイント引き下げ、現行の9%から8%にすることを決定したと発表した。
中信証券の明明チーフエコノミストは「証券日報」の取材に対して、「このほど米連邦準備制度理事会のさらなる利上げの予想が強まった影響で、ドルインデックスと米国債利回りが大幅に上昇した。外貨の預金準備率の引き下げは、市場への外貨供給の拡大を促し、市場の変動を抑え、市場マインド及び人民元レート安定の効果を発揮する」と述べた。
中央銀行のデータによると、3月末現在の外貨準備高は1兆500億ドル。これに基づき計算すると、外貨の預金準備率を1ポイント引き下げることで、およそ105億ドルの外貨の流動性を放出できる。
財信研究院の伍超明副院長は、「外貨の預金準備率の引き下げは、国内金融機関の外貨貸付資金を拡大できる。これは外貨市場のマインドの安定、人民元レートの合理的な水準での基本的な安定の促進に有利だ。これはまた中央銀行が市場に発した重要なシグナルでもある。しかも人民元レートの安定維持は、国内の金融政策の余地の拡大にも有利だ」と述べた。
伍氏はさらに、「外貨の預金準備率の引き下げは、安定成長にも有利だ。経済成長率の低下の圧力が大きな現状下、金融機関の外貨資金の供給拡大は、実体経済の外貨資金の需要を満たし、国内経済主体の外債償還資金の需要を満たす」と述べた。
植信投資研究院の常冉高級研究員は「証券日報」に、「今回の外貨の預金準備率引き下げの幅は比較的慎重だ。昨年通年の元高に焦点を絞り、中央銀行は昨年6月と12月に外貨の預金準備率を2ポイントずつ引き上げた。現在は急激に元安が進行しているが、1ポイントしか引き下げないのは、金融当局が今後為替レート安定に向け、その他の調節ツールを採用する可能性がある」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年4月26日