「中国外し」の供給網同盟、IPEFは構築不可

中国網日本語版  |  2022-05-23

「中国外し」の供給網同盟、IPEFは構築不可。

タグ:IPEF

発信時間:2022-05-23 14:39:47 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 バイデン米大統領は昨日午後、大統領就任後初のアジア歴訪の2つ目の目的地、日本に到着した。従来の軍事安全問題の他に、バイデン氏が訪日中に立ち上げを宣言する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」、特にこれを利用し中国に矛先を向ける供給網同盟を構築しようとする米国側の一連の動きが注目されている。

 

 米国は経済安全、地政学、価値観の3つを結びつけ、同盟国との団結を促進し、中国との競争を強化する重要な手段としている。「供給網の強靭性」は、この複合的な手法を反映する重要部分だ。

 

 インド太平洋戦略のレベルで見ると、米国は地域の大多数の国が大国間の競争に巻き込まれることに警戒を維持していることを理解している。そのためIPEFによりインド太平洋戦略の経済の不足を補い、米国が地域で軍事を重んじ経済を軽んじるという各国の懸念を和らげる一方で、供給網という物議を醸しにくい部分から着手することで、地域諸国が米国の陣営に加わるためのハードルを下げ警戒を弱めようとしている。


 供給網同盟の促進には、米国国内の需要に関する思惑もある。供給網問題は米政府が直面している長期的な難題だ。製造業の米国への回帰を引き続き支持するほか、バイデン政権は同盟国とパートナーの力を借りて米国の供給不足を補い、海外供給網の「絶対的安全」を求めようとしている。

 

 供給網について、日韓と米国の間にはすでに基礎が作られている。米国も日韓をインド太平洋の中心的な同盟国とし、日韓との協力によりIPEFのモデルケースを構築しようとしている。そのうち、デジタル、半導体、バッテリー製造などは米国が重視する分野だ。米国はすでに日本とデジタル貿易協定を結んでおり、韓国もIPEF内での米国とのデジタル協力の合意に期待している。米国が韓国の半導体製造能力、日本の半導体設備・材料供給能力から利益を得られるようにするため、バイデン政権は日韓に「半導体クアッド」の構築を提案し、さらにサムスン半導体工場を訪韓の最初の目的地とした。

 

 新型コロナウイルスや、ロシアとウクライナの持続的な衝突の影響により、「供給網の強靭性の向上」は確かに地域諸国の普遍的な需要になっている。ところがこれは諸国が、IPEFを基礎とし米国が大々的にアピールする供給網同盟戦略を全面的に受け入れることを意味しない。特にIPEFは地域諸国が長期的に求めてきた関税優遇、市場参入の拡大をまったく実現できない。バイデン政権が同盟国及びパートナーへのいわゆる「重視」をいかに強調しても、これは米国の経済政策の保護主義的な色合いを隠せていない。

 

 しかも地域の大多数の国は、米国の対中供給網デカップリングの埋め合わせをしたがっておらず、供給網問題が価値観や安全の問題にされることを望んでおらず、より自主的で開放的で多元的で包括的な供給網体制の構築を望んでいる。これは各国が中国と相互依存する経済の論理によって、また米国の中国との「大国間競争」に巻き込まれたくないという戦略的な論理によって決まっていることだ。米国の中国排斥を目標とする供給網再構築は、地域の既存の供給網ネットワークを破壊するだけだ。中国は日韓及びASEAN諸国の重要な経済・貿易パートナーだ。地域諸国の利益は既存のネットワークと深く結びついており、既存の協力から身を引き「二者択一」する理由はない。

 

 これはIPEFが貿易協定の形式を取れず、「1国1プラン」という参加形式を取り、関連諸国にいわゆる「公平で強靭な貿易」「供給網の強靭性の向上」、インフラ、クリーンエネルギー、脱炭素などのどれか一つを選び加入することを認めている理由でもある。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)と比べると、この比較的分散している自由な参加形式は米国の無力を示しており、より大きな不確実性をもたらす。

 

 IPEFは米国国内で複雑な議会承認手続きを迂回できたが、それゆえ拘束力と持久力も大幅に低下する。2024年末に再任できなかった場合、IPEFが民主党政権と共にホワイトハウスを離れる可能性もある。これらの不確実性はまた、地域諸国への魅力を落とし、その後の実行に影響を及ぼす。(筆者・孫成昊 清華大学戦略・安全研究センター学者 王葉湑 「米欧研究プログラム」若手研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年5月23日

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