米国ではインフレが高止まりしていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)が今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で積極的な利上げに踏み切るとの見方が広がっている。また、エコノミストの間では、近い将来、米経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性が高いとの見方も増えている。
米紙ニューヨーク・タイムズは、積極的な利上げは経済に大きな影響を及ぼしかねないと指摘した。政策金利の上昇は、住宅ローンや企業向け融資など借入コストの上昇といったさまざまな面に波及する。不動産市場に打撃を与え、個人消費を冷え込ませ、企業の事業拡大を抑え込み、労働市場や経済成長を弱めてしまう。その過程で、購買意欲の減退や需要の低下が起き、インフレ圧力の緩和につながるが、インフレにとって金利は単に一つの側面でしかなく、新型コロナウイルスによる経済危機(コロナショック)やロシアとウクライナの衝突などの要因で、物価はさらに上昇を続ける可能性がある。
米シンクタンク、アメリカンエンタープライズ公共政策研究所のエコノミスト、デズモンド・ラフマン氏は、インフレが大きな失望を誘う数字だったことから、FRBには金融引き締めのブレーキを緩める余地はほぼないと指摘。株式や債券価格の下落により、年初から約12兆ドルの富が消失したが、この富がさらに失われるようであれば、来年早々にも経済が失速する「ハードランディング」のリスクが高まるだろうと語った。
英紙フィナンシャル・タイムズが今月発表した最新調査によると、調査対象となったエコノミストの70%近くが、来年にも米国経済はリセッションに陥ると予測したほか、「年内にもリセッション入りする」との見方もあった。米ニュース専門放送局CNBCが9日に発表した企業の最高財務責任者(CFO)へのアンケート調査によると、回答者の77%が2023年上半期(1~6月)中に米国経済がリセッションに陥ると予測。回答した22人のうち、リセッションを回避できると考えている者はいなかった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年6月18日