日本政府はこのほど5年ぶりに節電や省エネ対策などを検討する関係閣僚会議を開催し、7年ぶりに全国に向けて省エネの取り組みを呼びかけた。ここから日本が今、エネルギーの苦境に立たされていることがうかがえる。
5月以降、日本の岸田文雄首相はさまざまな場面でみずから原子力発電を「盛り立てて」きた。取材に対して、「原子力発電所を1基動かすことができれば、世界市場に100万トン新たなLNG(液化天然ガス)を供給するのと同じだけの効果がある」と述べたこともある。日本の経済産業省はこのほど発表した資料「クリーンエネルギー戦略 中間整理」の中で、原子力エネルギーをクリーンエネルギーとともに重要な電力源として引き続き活用する方針を明確にした。
ところが、日本の原発再稼働には数々の困難が横たわる。一方では、再稼働は国民の怒りを招いている。世界では、東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故と放射能汚染水の海洋放出計画により、日本のイメージは大きく損なわれた。日本国内では、政府と国民の間に再稼働をめぐり深刻な溝が生まれた。4月の世論調査では、再稼働に賛成と答えた人は4割にも満たなかった。まもなく参議院選挙を迎える自民党にとって、「原発で票を失う」ことだけは避けたいところだろう。
その一方では、厳格な審査基準が再稼働をより一層難しくしている。日本の電気事業連合会がまとめた統計によると、日本の既存の原子炉36基のうち、原子力規制委員会に審査の申請を行なったところは27基に上るが、再稼働が認められたのは10基のみで、電力供給のわずか6%に過ぎない。
このほか、政府の要求する新たな審査基準に基づくと、原発が安全審査の1次審査に合格し、所在地の地方自治体が再稼働に同意した後、電力会社は自然災害対策用の設備を設置しなければならず、テロ対策を保障するための「特定重大事故等対処施設」も設置しなければならない。その上で規制委員会が最終的なリスク評価を行い、稼働に関する意見を提出するというプロセスを踏む。人手不足や資源不足といった要因に制約されて、一部の電力会社は審査の最後の段階で「つまずいている」。
日本がエネルギー苦境に陥ったのは、ここ数年の複雑な外部環境が日本の脆弱なエネルギー供給システムに対してもたらした必然的結果だ。日本は原発再稼働で苦境を乗り越えようとしているが、国際世論と国内世論の非常に大きな反対に直面するだけでなく、厳格な審査基準もクリアしなければならない。日本政府にとって、短期的に原発を強く推進してエネルギー不足を解消しようとしても、おそらく簡単なことではないだろう。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年6月17日