中国航空大手3社による「過去最大級」の航空機購入契約をめぐり、欧州航空機大手エアバスが受注を獲得し、国際社会の注目を集めている。
海外メディアは、ボーイング社のコメントのように「地政学的な見方の違いが、引き続き米国製航空機の輸出を制約する」と分析する。ボーイング社が「大口顧客」を維持したいのであれば、製品の品質で信頼を得るだけでなく、米中経済間の「デカップリング」の流れを阻止し、米国政府に足を取られないようにする必要があるという。
中国航空大手3社(中国南方航空、中国国際航空、中国東方航空)は1日、欧州エアバス社の旅客機「A320NEO」292機を購入する契約を結んだと発表した。
3社はいずれも、エアバスが大幅な値引きを提示してきたと発表。約300機の旅客機は2023年から2027年にかけて順次引き渡される予定だ。
エアバスは今回の「過去最大級」の受注について、「中国の航空市場の回復と明るい見通しを示すもの」と前向きに受け止めている。
喜ぶ者あれば憂う者あり、大口受注が「いつのまにか消失」したことが米ボーイングに打撃を与えた。
ボーイング社は「地政学的な見方の相違が米国の航空機輸出を制約している」とし、米中間で「生産的な対話」を進めるよう促した。
実際のところ「地政学的な見方の違いで輸出が制約を受ける」というボーイング社の主張は事実だ。米国は近年さまざまな分野で中国の「足をすくって陥れ」、米中の「デカップリング」まで企てている。
政治面では、日米豪印4カ国戦略対話(QUAD)の対中協力が一段と加速。一方で、海外メディアが「中東版QUAD」と呼ぶI2U2(インド・イスラエル・米国・UAE)会議の意図は不明。
経済面では、2018年に始まった米中貿易戦争に始まり、バイデン米大統領が呼びかけ対中包囲網を強めようとする「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)に至るまで。
軍事面では、防衛組織であるNATOの「戦略概念文書」は初めて中国を「体制上の挑戦」と見なした。