ドル高が進行し、世界に破壊をもたらしている。しかもこれはまだ序の口だ。米ブルームバーグ(電子版)が28日、伝えた。
国際貿易を促進する通貨であるドルは現在、史上ほぼ例のない続騰を迎えている。これは主に米連邦準備制度理事会(FRB)による極端な利上げの結果だ。27日には再び0.75%の利上げに踏み切り、すでに壊滅的な足跡を残している。食品の輸入コストを引き上げ、世界の大半の地域の貧困を激化させた。スリランカはデフォルトに陥り、政権が崩壊した。世界各地の金融の都で、株式及び債券の投資者が深刻な損失を被った。
ある指標によると、ドルは現在かつてないほど高くなっている。FRBが物価上昇を抑制するため利上げを維持する決意を下した中(これが米国と世界の経済が後退に陥ることを意味するとしても)、大半の長期金融観測筋はドル高を阻止できる力はほぼ存在しないと見ている。
急激なドル高は、世界各地の人々の日常生活でも実感できる。これはドルが国際貿易の潤滑剤であるからだ。毎年の28兆5000億ドルの国際貿易額のうち、約40%がドル建てで計算される。すべてを顧みない高騰は、自ら維持する悪循環を生む可能性がある。
ドルの需要がかつてないほど旺盛なことには単純な理由がある。世界市場が動乱に陥ると、投資家は安全な港を求める。国際決済銀行によると、このリスク回避機能は「現在は主にドルが発揮している」という。米国経済の規模と強さは依然として比類がなく、米国債は依然として資産保管の最も安全な手段の一つだ。ドルは各国の外貨準備高の中で最大のシェアを占めている。
多くの主要経済体の通貨がすでに損失を被っている。ユーロ暴落のほか、投資家がより高い収益率に向かうにつれ、円も24年ぶりの低水準に下がっている。
多くの新興市場が被る損失はより大きい。インド・ルピー、チリ・ペソ、スリランカ・ルピーは今年、過去最安を記録した(一部の国の中央銀行は自国通貨安を減速させるため取り組んだが)。
これまでもドル高は数回あった。例えば2016年と18年に、FRBは金融引き締めを模索した。ところが最新データによると、米国の物価上昇は過去40年で最高水準になっており、FRBの操作の余地が狭まっている。
シンガポールからニューヨークまでの各地の投資家は現在、経済成長率の低下、FRBの利上げ停止の明確な予想、アジアの経済成長の実質的な回復などについて憶測している。しかしそのどれがいつ現実になるかは不明だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年8月2日