今年の全国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の代表委員はこのほど、高水準の対外開放を推進し、貿易・投資協力の質と水準を向上すべきと指摘。外資の投資への期待を一層安定させることで、外資の導入拡大、ストックの安定を促進し、国際的な経済・貿易協力の新たな成長点を育成すべきとの考えを示した。
外資導入の質を継続的に向上
中国人民政治協商会議(全国政協)委員を務める中国民主建国会湖北省委員会の韓民春副主任委員は「この2年間に、中国のハイテク産業における外資利用実績は増加し、外資企業の規模全体も拡大した。この2つの指標は、中国における外資利用の量的・質的向上を示すものだ」と説明。「さらに称賛すべきは、この成果が新型コロナウイルスの流行や地政学など多方面にわたる複雑な要因の影響により、多国籍企業の対外投資意欲が総じて低い時期に達成されたものであるという点で、現在の世界経済成長のけん引役となっている中国の魅力の大きさがうかがえる」と述べた。
今年に入ってから、中国は貿易・投資協力の質と水準の向上に向け、実践的な施策などを継続的に打ち出している。1月には商務部と科学技術部が、外資による研究開発センターの設立を働きかける新たな措置を発表した。全国人民代表大会(全人代)の代表を務める安徽省合肥市の羅雲峰市長は「これは、より多くのグローバルなイノベーションを起こす要素を持つ資源を呼び込む上で有利になる」と指摘。合肥市は、世界的な業界リーディングカンパニーや、鍵となるコア技術や豊富な応用シナリオを確立した海外企業の研究開発機関に注目し、国際的なイノベーションエコシステムの構築を加速させる考えを示した。
現代サービス産業の開放を拡大
今年の政府活動報告では、市場参入を拡大し、現代サービス業の開放を拡大することが提起された。全人代の代表を務める福建省社会科学院の黄茂興副院長は「中国は外資誘致と利用の一段の促進し、ストックの安定と量的な拡大を図る必要がある。中でも、現代サービス業の開放を拡大することは、量的に拡大する上で重要な鍵となる」指摘。中国のサービス業の総合的な試行拠点を拡大し、地域の実情に合わせたサービス貿易改革の深化、高い水準の開放、全方位的なイノベーションを促進し、「中国サービス」ブランドを打ち出すべきとの考えを示した。
代表委員らは、現代サービス産業の開放拡大について、「開放」だけでなく「管理」も必要であり、制度を刷新し、全国に先駆けて改革を試行しする課題は重く困難だとの考えを示した。
全人代の代表を務める海南省海口市の丁暉市長は「海南省にとって、現代サービス業に力を入れ、対外開放・協力を一段と促進することは、海南省が改革開放を全面的に深化させ、自由貿易港の建設を推進する上で重要な課題になる」と指摘。現代サービス業の発展に向けた新たシステムを構築し、改革を全面的に深化させる新たな担い手を育成し、世界に向けた高水準の制度型開放の新たな門戸を構える必要があるとの認識を示した。
中国巨大市場の開放は、各国企業に中国での成長機会の提供につながる。全人代の代表を務める佳信海壇控股集団の林正佳董事長は「投資を呼び込むというのは、良好な環境やサービスで客人をもてなすようなものだ」と指摘。中国にはインフラ整備や市場規模などの面で高いハードパワーを持っているが、海外資本や華僑資本への対応というソフトパワーについては、引き続き改善する必要がある。外資を呼び込み、つなぎ止め、発展させることで、より多くの海外資本や海外企業が根付き、中国の質の高い発展とともに成長できるようになるだろうとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年4月5日