中国でペットを飼う人が近年増え続けている。「中国ペット業界白書――2022年中国ペット消費報告書」によると、2022年の都市部の犬・猫数は前年比3.7%増の1億1655万匹。家庭の多くがペットを「家族の一員」とし、行方不明の問題への重視を強めている。ニッチな「ペット探偵」が日増しに脚光を浴びている。
梯子をのぼり、地下道を潜り、穴に下りる。武立雷さんが北京極致尋寵科技有限公司を設立すると、これらの作業はペット探偵の日常となった。作業環境も屋外、高空、夜間が中心になることが多い。
レスキュー任務の順調な展開を保証するため、彼らは出動するたびにサーモグラフィー、生命探査装置、ナイトビジョンゴーグル、生命探査レーダー、ドローン、懐中電灯、音波機器、駆逐装置などのハイテクペット探し道具を携帯する。創業から現在までの4年間で、彼らは北京市、上海市、武漢市などの1・2級都市をめぐり、5000匹を超えるペットを救出した。
ペット探偵はSNSで、壁を越え洞穴を抜け、機知に富み勇敢で、ハイテク設備を使い各所を捜索し、スリル満点なイメージがある。しかし武さんには、一人前のペット探偵の育成に関する独自の考えがある。
武さんは、プロのペット探偵には優れた体力と専門知識が必要と考えている。「ペット探偵の採用条件はまず性別と年齢で、通常は20代の男性だ。激務なだけでなく、睡眠時間も不規則的で、さらに下水道に入りエスカレーターを登る必要がある。想像もできない問題が存在する場所が多い」
チームはさらに定期的に専門知識訓練を行い、ペット探偵に動物の心理、動物の行為、さらには捜査などの関連書籍を読ませる。さらに入社したばかりのペット探偵は、北京でベテラン社員に3カ月間手取り足取りで教わってから、各地の協力先に派遣される。
しかし新興業界で業界基準が存在しないため、ペットの捜索救助は料金問題の物議を醸すことが多い。誰もがペットを探すため料金を支払いたいわけではない。武さんの料金の基準は通常、「見つかれば全額、見つからなければ基礎労務費のみ」だ。
武さんは現在、会社のペット探しの定価を3000元から3万元としている。「具体的な料金は依頼人が求める派遣人数で決まる。現在の一般的な料金はペットそのものの価値を超えている。依頼人はペットとの感情をより重視する」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年5月30日