中国国家統計局が17日に発表した統計によると、上半期（1～6月）の国内総生産（GDP、速報値）は5兆9303億4千万元と、物価の変動を調整した実質で前年同期比5.5％増となった。他の経済指標にも海外メディアの関心は高く、「中国が今後、試練を乗り切れるかどうかが世界経済回復のカギを握っている」と指摘する日本のメディアもあった。

　17日付け英紙ガーディアン電子版によると、中国国家統計局は第2四半期（4～6月）は6.3％増と、第1四半期（1～3月）の4.5％増から伸びが加速したと発表した。

　中国経済の成長は過去30年にわたって世界経済を支えてきた。昨年の新型コロナウイルス感染症対策を経て、中国経済は年内に回復すると予測されている。

　中国経済は現在、さまざまなコモディティ価格を支えており、中国は電気自動車（EV）から航空機、再生可能エネルギー関連設備に至るまで、年々高度化する一連の先端製品の供給源となっている。このため、中国の内需が冷え込めば、こうした製品の輸出が増える可能性がある。

　オーストラリアのジム・チャーマーズ財務相は16日、同国は先進国のうち最も中国への依存度が高い国の一つであり、中国の動きを注視している国の一つでもあると語った。

　16日付け英字紙ジャパンタイムズは、中国の成長モデルが根本的に変化しつつあるとして、次のように報じた。数十年にわたって主に外需が成長をけん引してきた後、中国政府は国内外の二つの循環に重きを置く双循環モデルを採用した。その狙いは、中国経済をより弾力性のあるものにして、外部からの打撃を受けにくくすることにある。

　中国の工業化が進み、所得と富が増加するのに伴い、中国の労働者は製品やサービスを消費する側となった。その結果、中国のGDPに占める貿易の割合は、2006年のピーク時には67％を占めていたが、現在は35％前後にまで落ち込むようになった。

　昨年以来、不動産市況が低迷が財政に大きな影響をもたらしている。中米関係の悪化と新型コロナによる混乱により、中国の構造転換は一段と妨げられている。

　ただし、中国経済は早期に回復すると言える理由がある。先ごろ米政府高官が訪中したが、これは中米関係の安定化ないしは緊張緩和に向けた兆しになるかも知れない。

　いずれにせよ、中国政府は雇用の拡大や不動産市場の安定化、金融リスク管理、技術革新の支援、環境配慮型の包摂的な成長の促進に取り組んでいる。市場は、中国が成長目標の実現に向けた支援策を打ち出すと期待しているようだ。これは世界各国の利益に絡んでくることは明白だ。

　中国が今後の試練を乗り切れるかどうかが、世界的な景気回復につながるか、もしくは景気後退に陥るかのカギを握っている可能性がある。

　「中国網日本語版（チャイナネット）」2023年7月22日