中国との外交で、米国と欧州は規制と制裁にますます頼るようになっている。華為(ファーウェイ)が表明した通り、これは通用しない。ドイツ証券新聞が伝えた。

　米国の華為への制裁は、一時的に成功したかに見えた。3年で、この科学技術集団の中国スマートフォン市場でのシェアは約3分の1から約7%に低下した。しかし、すでに上昇に転じ、華為のスマホの今年第2四半期の販売状況は再び好転し始めている。米国は中国がこれほど速く別の技術を飛躍させるとは信じていなかったが、華為はそれを実現させた。

　部外者は、これは取るに足りないことだと考えるが、華為は米国が制裁措置を開始してわずか4年後に画期的な成功を収めた。同社の米国でのライバルであるアップルは2017年に相応のチップの設計を開始し、世界市場の単独トップにいるクアルコムを目標としてきた。アップルは2019年に約10億ドルでインテルの携帯電話チップ事業を買収したが、同社のエンジニアがコンピュータチップ分野でインテルやAMDなどのライバルをに差をつけても、競争力を持つ5Gモデムを開発することができなかった。逆に、アップルは最近、クアルコムとの5Gモバイルチップ供給契約を2026年まで延長した。

　中国が国内市場でサムスンやアップルから市場シェアを取り戻しただけでなく、同時に、米国による制裁は、その他の米国と欧州のハイテク供給業者が中国でのチャンスを失ったことも意味する。例えば、エヌビディアは中国の一部の販売事業を失っている。

　西側のどの企業も半導体を販売しなかったことが、中国国内の供給業者に発展のチャンスとなった。エヌビディアは米国政府が厳しい規制で威嚇するやり方に反応を示し、米国企業のこの巨大な市場でのチャンスを制限しないよう警告した。エヌビディアのコレット・クレス最高財務責任者は、これは同社とほかの米国半導体メーカーの長期事業の今後に大きく影響すると示した。

　これまで、米国政府は対中制裁の必要性をそれほど証明していない。米国政府は、国家利益を保護するには中国の技術の進歩を制止する必要があると考える。欧州の保護主義の勢いも増している。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は14日、中国の電気自動車メーカーに対する反補助金調査の実施を発表した。これも米国政府のチップ産業での行動と同じで、中国の技術進歩を阻止することはできない。

　逆に、欧州自動車メーカーの中国での売上が急速に低下する可能性もある。市場環境が全体的に好調な中で、BMW、ベンツ、ポルシェ、フォルクス・ワーゲンの株価は14日に軒並み下落した。これは、株式投資家の欧州自動車メーカーに対する「お仕置き」と解釈できる。

　バイデン氏とフォン・デア・ライエン氏は同じような落とし穴にはまった。1つの問題を解決しようとしながらも、大きな問題を作り出した。制裁する側の規模が大きく、される側の規模が小さい時にしか、制裁の効果を発揮できない。

　中国との外交で、欧米は創造力のある方法をとる必要がある。中国という巨大な市場での利益を失うだけでなく、中国の技術進歩は西側が参与しない状況下でより多く発生する。寧徳時代のバッテリー技術がなければ、ドイツ自動車メーカーは電気自動車分野でどの方向に進んでいただろうか。中国がiPhoneのOEM生産をしなくなれば、アップルはどれほど成功するだろうか。これらは無数の例の中の2つにすぎない。

　相互依存の認識が明らかに欠けていることより腹立たしいのは、欧米の政界が全く耳を貸そうとしないことである。半導体産業と自動車メーカーはワシントンとブリュッセルで自身の観点を表現することができない。逆に、制裁が渦を巻き続け、その度に新たな害をもたらしている。(文：同紙セバスチャン・シュミッド副編集長)

「中国網日本語版(チャイナネット)」2023年9月18日