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中国経済が直面する構造的問題を客観的に見る

「人民網日本語版」  |  2024-03-06

中国経済が直面する構造的問題を客観的に見る。

タグ:中国経済

発信時間:2024-03-06 18:52:04 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 目下の中国経済に存在する構造的な問題は、各国の経済が発展する過程で一般的に遭遇する問題であり、決して中国だけのものではない。たとえば人口問題は今や世界的な問題になっており、米国、欧州連合(EU)、日本の合計特殊出生率はいずれも人口置換水準の2.1を下回っている。韓国の2022年の合計特殊出生率は0.78にとどまって、中国の1.09を大幅に下回った。債務問題については、米国は2008年後、欧州は2010年後に、相次いで「債務のスーパーサイクル」を経験し、新興国と中低所得国での債務問題はさらに枚挙にいとまがなく、このたび米国が急激な利上げを行った後は、引き続き利上げの「後遺症」により債務危機が誘発される可能性がある。不動産問題については、米国の2007年のサブプライムローン(信用度の低い借り手向けの住宅融資)問題は不動産問題と関係があり、日本の1990年代のバブル崩壊は主に不動産市場と株式市場で起きたものだ。

 中国経済が直面するこのような構造的問題に対し、党中央はかねてより深い研究を行い、中国の国情を出発点として、先進国の経験・教訓をくみ取り参考にするよう注意してきた。たとえば早くも2015年に、中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議は「二人っ子政策」を全面的に実施することを明確に打ち出した。2021年5月には中国共産党中央政治局が「出産政策を優れたものに変え、人口の長期・均衡的発展を促進する事に関する決定」を審議し、出産政策をより一層最適化し、「三人っ子政策」と関連の支援措置を実施することを打ち出した。ここ数年の中央経済政策会議でも、出産、子育て、教育にかかるコストを段階的に引き下げ、新しい出産政策が定着して効果を上げるよう推進し、高齢化に積極的に対処しなければならないとたびたび打ち出してきた。債務問題については、2013年に党中央は、地方の債務規模拡大の問題をより一層重視しなければならないと指摘するとともに、同年の中央経済政策会議において債務リスクの予防・抑制に力を入れなければならないと特に強調した。2017年に党中央は、地方政府の債務リスクを積極的で適切に解消し、改革を通じて地方のルール違反の債券発行による資金調達の根源を取り除かなければならないと強調した。不動産リスクの問題については、2016年の中央経済政策会議が不動産と実体経済のアンバランスの問題の解決を重視しなければならないと打ち出した。習近平総書記も「不動産は住むためのものであり、投機売買のためのものではない」との位置づけを繰り返し強調してきた。

 見なければならないのは、こうした問題が中国で起こることには、一定の客観的な必然性があることだ。一方で、中国経済が高度成長段階から質の高い発展段階に転換し、構造的問題がいずれも表面化する可能性がある。不動産問題を見ると、21年下半期以降、中国の不動産市場は生産能力の過剰と生産量の過剰の問題が急速に顕在化し始めていた。分譲住宅の販売面積はピークである2021年の18億平方メートル近くから、23年の11億2000万平方メートルに減った。これは2012年の水準にほぼ相当するもので、経済を押し下げる働きをすることは避けられないものとなった。試算では、不動産全体の経済成長に対する寄与は、すでに新型コロナウイルス感染症発生前の毎年1-2.5ポイント増のプラス成長から2020年以降のマイナス成長になり、22年は0.91ポイントの低下となった。マクロレバレッジ比率の上昇と政府債務の問題を見ると、新型コロナ感染症パンデミックの3年間に、中国のマクロレバレッジ比率は一度落ち着いた後に再び上昇した。一般的に、マクロレバレッジ比率は上昇の初期は経済成長の加速装置になるが、債務償還のピークが訪れると経済の減速装置になってしまう。ここ2年間、債務償還のピークが訪れるとともに、経済を抑制する高レバレッジの役割がとりわけ明確になり、債務の金利負担だけでも、一部の地方政府には受け入れが難しくなった。同時に見なければならないのは、中国の政府債務は主に内国債であることだ。中国の経済・社会が安定しているため、国が債務の増加を厳格にコントロールし、ストックを徐々に減らしさえすれば、力強く秩序よくデレバレッジを行えるのだ。

 他方で、中国は構造的な問題に対処する過程で、新型コロナ感染症のパンデミック、特に世界の地政学的環境がますます悪化するという課題に直面することが、問題解決の難度を大きく引き上げた。ここ数年、米国は中国を戦略的な競争相手と見なし、各種の手段を講じて中国を抑圧してきた。2020年に開催された中国共産党第19期中央委員会第5回全体会議で、党中央は国内と国際的な2つの循環の新たな発展構造の構築に力を入れることを打ち出した。これは国際情勢が非常に不安定・不確実であるということを背景に、中国が発展の主導権で先手を取るということであり、外部からの打撃と外需の減少がもたらす影響を解消する上でプラスになり、また極端な状況の中で、中国経済の基本的で正常な運営と社会の大局の総合的な安定を保証する上でもプラスになる。中国経済は23年の実際の状況から出発し、外需が減少する状況の中、中国国内の大きな市場が持つ優位性をよりどころに、内需のポテンシャルを十分に引き出し、通年の経済・社会発展の主要目標を達成した。

 23年の中国経済政策会議で、党中央は「中国経済の発展が外部の厳しく複雑な情勢によって生まれた不安定で不確実な要因に直接向き合う必要がある以外にも、中国自身の発展も一部の困難と課題に直面しており、主なものには有効な需要の不足、一部産業の生産能力の過剰、社会的期待の弱さ、隠れたリスクが依然として多いことなどがあり、国内の大きな循環には行き詰まりがある」と踏み込んで指摘した。このため、党中央は「5つの必須」事項の法則性の認識と「9つの面」の重点任務を打ち出した。これらを着実に行いさえすれば、必ず中国経済の回復・好転の流れを突き固め、増強することができ、各項目の目標任務を達成することができ、中国経済の長期的成長を悩ませてきたこれらの構造的問題の解決において重要な突破口を開くことができるだろう。(編集KS)

 「人民網日本語版」2024年3月6日


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