米通商代表部(USTR)は現地時間24日に公聴会を開き、中国製もしくは中国の国旗を掲げる船舶に対して入港料を徴収する計画について意見を聞き取った。この公聴会では、米国の一部政治家による保護主義の執念と、世界産業チェーンの実務的な需要が同じリングに上がった。米連邦・州・地方の300以上の貿易協会と数百社の企業及び個人が意見を出すか、発言を求めた。フロリダ州の船舶仲介業者から米中西部の農場主に至るほぼすべての団体が入港料に反対した。これは一国主義の政策が受けるブーメランの予兆で、現実離れした保護主義が人心を得ないことを再び証明した。
反対の声はまず、米国現地の企業から上がった。全米小売業協会(NRF)のサプライチェーン・税関担当副会長のジョナサン・ゴールド氏は、業界の代表者らは入港料は関税を上回る「脅威」であり、サプライチェーンの安定的な動きに直接影響を及ぼすと見ていると述べた。米国最大の国際海上貨物輸送会社シーボード・マリーンが保有する24隻のうち16隻が中国製だ。同社のCEOは、中国製の船舶に対する入港料の徴収は「米国のすべての海運会社を破壊する」と述べた。さらに多くの企業経営者と業界代表者は、入港料は「米造船業の復興」に対して何の意義も持たないとした。これにより米国の海運業者と小・中型港が存続の危機に陥り、物価高、輸出激減、雇用減少、GDP減少を招き、さらには「米国経済に壊滅的な打撃をもたらす」からだという。
入港料の徴収は、世界の海運業の混乱を引き起こし、すでに脆弱な世界のサプライチェーンに大きな損失をもたらす。世界海運評議会のジョー・クラメックCEOは、入港料によりコンテナ1基当たり600−800ドルのコスト増になる可能性があると計算した。海運業の専門家と企業代表者も、次の厳しい警告を発した。各国の船主が米国の港への停泊を減らすことで、カナダやメキシコなどの港の圧力が増し、世界各地の船舶のスケジュール表が乱れる。その一方で、世界の海上運賃の高騰の圧力が最終的に各国に伝わるというのだ。世界最大のコンテナ運送業者であるMSCのCEOは、入港料により海運業に毎年約200億ドルの損失が生じると述べた。カリブ海地域の代表者は、この措置は地域諸国の石油及び天然ガス業界にも悪影響を及ぼすとした。入港料はまだ意見聴取の段階だが、すでに多くの船主が米国の輸出業者へのオファーを拒否している。これらの声は、米国の独断専行がもはや内政の範囲を超え、多国間貿易体制を損ねることを示している。
1967年より経営を始めた海運会社のCEOは、その4ページ以上に及ぶ声明文の中でこう振り返った。2012年に各国の造船所に5隻の注文を出すと、日本企業はオファーを拒み、韓国企業は注文が少なすぎるのを嫌がり、米国の造船会社は軍艦を作るので忙しく7年後にならないと対応できないと回答した。極めて高い競争力をもつ価格で設計が複雑な船舶を直ちに建造できるのは、中国の造船会社だけだったという。このようなエピソードは、世界の造船業の構造変化の内在的な論理を分かりやすく説明した。米国がかつての造船業の栄光を取り戻したければ、保護主義の温室を作ろうとするのではなく、しっかり地に足をつけ自身に突破口を見出すべきであることは、歴史によって証明済みだ。開放と競争の自信を失えば、保護主義は米国の造船業をさらに錆びつかせるばかりだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2025年3月26日
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