東魏元祜墓は河北省磁県に位置する。地表に高さ約1.8ｍの封土が少量残っていた。河北省文物局「南水調北」プロジェクト文物保護弁公室の委託を受け、中国社会科学院考古研究所河北作業チームが06年９月－07年７月に発掘した。

墓は南に向いており、斜め墓道、天井、甬道、墓室などで構成。全長約25.5ｍ。墓室の西側で完全に朽ちた棺と外棺が発見され、棺から人骨が見つかった。その東側から陶俑や埴輪、陶磁器、墓誌など、合計190点余りの副葬品が出土した。

墓室周囲の壁に青竜や白虎、官吏などの壁画が一部残っていた。北側の壁には、真ん中に墓主と思われる人物が座り、その後ろに７つの屏風の彩色画が描かれていた。墓誌の記載から、墓主は東魏天平四年（537）に埋葬された貴族、徐州刺史元祜であることが分かる。

後漢北斉墓地は河南省安陽件安豊郷の固岸村と、施家河村東部の高台に広がっており、漳河の南岸まで728kmのところ。海抜は87－93ｍ。発掘面積は２万5000㎡余り。すでに整理済みまたは現在整理中の墓は333基に上る。大まかな統計では、戦国時代の墓が32基、秦漢が68基、魏晋が６基（曹魏は３基）、十六国が３基、北朝が144基（東魏は50基、北斉は92基、北周は２基）、隋が３基、唐が３基、宋が１基、清が６基。このほか、現在発掘中で判定が待たれている墓は約60基を数える。出土品は2201点。

上述した資料から分かるように、この墓地は多くの王朝にわたり、時間も比較的長いが、北朝時代を主体としている。北斉と東魏時代の墓誌煉瓦が出土したことから、年代は比較的はっきりしており、器物も実に様々で、しかも多くが平民葬である。故鄴城周辺で東魏、北斉の平民の墓地が発見されたのは初めてであり、故鄴城の配置を完ぺきに研究する上で重要な資料となる。平民の墓であるため、さらに研究すれば、当時の社会生活の状況や生産力の水準をより正確に示すことができる。同時に人類学や人種学の研究にも新たな課題が提供されるなど、科学研究面で極めて重要な価値がある。とくにこの地区で北周の墓が発見されたのはこれが初めて。

「チャイナネット」2008年5月29日