私は単純な観光客ではない。場合によっては、毎年半年ぐらい滞在している中国北部の人たちの仲間となることも不可能ではないのだ。現に子供の同級生の両親は毎年半年滞在しており、私たちにもそれを勧めてくれている。しかし、私はどうしても北京でこなししたい大事な仕事があるので、いつも半月で繰り上げている。こうした準海南島人として見れば、やはり海南島が美しい南の島でありつづけることを願っている。もちろん、どういう油絵が出来上がるかは、ひとえに海南省当局とシンクタンクの人たちの描くグランドデザインで決まることはよく承知している。今は観光客に変身しているが、この私のような凡人、凡才でも、かつては海南省のシンクタンクに宿泊して、著名な高尚全氏のアレンジで地元の諸賢人のご高説を拝聴したことがあるので、ここで一家言のようなことを述べてみたい。
1.三亜市などのパラダイスは俗世間のほこりをなるべく少なくすることだ。三亜市の一角に外国人がたむろするナイトクラブのようなところがあり、私はときどき子供とその近隣の湖南料理のレストランで食事をしているが、ナイトクラブそのものには入ったこともないし、私は一生入るつもりはないが、ただ、そのナイトクラブの看板は観光地だから大目に見てもらっているのかもしれないが、北京では御法度のベースラインすれすれのような気がする。露出度がオーバーだということだ。
青少年の教育上好ましくないような気がする。私は特派員として六年間東京に滞在したことがあるので、これくらいの露出度以上のものもあることは知っている。しかし、どの国にも文化、習慣というものがあり、日本で著名な写真家篠山紀信さんでさえどこかかで写真をとろうとしたことが「問題」となっているように、イエローカード、レッドカードを提示されるようなことはなるべく避けた方がよいような気がする。こんなことを書くと、グロバリゼーションや国際的スタンダードへのリンケージを主張するごく少数の若者たちに石頭の持ち主といわれるかもしれないが、とにかく、中国には中国の文化があるのだから。
2.エメラルド・ブルーの海を前にした海岸通りも、それほどセレブでない海鮮料理のお店でゴタゴタしている。海岸通りはリゾート地らしくもっとゆったりした雰囲気のものにしてはどうか。
3.町中の歩行者天国の近辺で二、三の物乞いの姿を見かけることだ。これは国際観光の島としてはイメージダウンにつながる。観光客が何百万というお金を落としていくのだから、その千分の一でも使ってこういうことはすぐ解決できるはずである。
4.私は毎日NHKの海外放送を聞いているが、その「海外安全情報」で、海外の日本人観光客にスリ、ひったくりなどについて注意を呼びかけているが、スリ、ひったくりなどが現われないよう気をつけることもお忘れないように。
さらに、蛇足かもしれないが、ごく少数の人たちの「国際リンケージ」論にも冷静に対応することもお忘れのないように。パンドラの箱はいったん開けてしまうと面倒なことになるかもしれないので。
要するにまっさらのキャンバスに絵を画くのだから、最初からじっくり想を錬る方が賢明であろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年3月26日