中国の宇宙科学技術者は1994年、月探査活動の必要性調査及びフィージビリティスタディを実施し、1996年に月探査衛星の技術方案研究を終わらせた。1998年には衛星の要となる技術の研究が終了し、引き続き更なる論証が行われた。2004年、中国は月探査プロジェクトを「嫦娥プロジェクト」と命名、プロジェクトを正式にスタートした。不死の薬を飲んだ嫦娥が月に昇るという神話は、中国ではよく知られた物語だ。
10年間にわたる準備期間を経て、中国の月探査プロジェクトは「周回」、「着陸」、「帰還」の3段階に分けて進められることが確定した。
▽第1段階「周回」
第1段階では、中国初となる月探査衛星を打ち上げ、地球外天体まで飛行する技術を確立する。月探査衛星による月周回飛行を実現するほか、リモート技術を通じて月面の3D画像を取得し、月面に存在する有用な元素の含有量や物質の種類について調査する。また、表土の特徴を調査するほか、月探査衛星の飛行プロセスにおいては、月と地球の宇宙環境を観測する。中国初の月探査衛星「嫦娥1号」は07年10月24日に打ち上げられた。
▽第2段階「着陸」
第2段階の実施期間は2007年-2010年と定められている。月面に軟着陸する機器を打ち上げ、地球外天体への着陸技術を確立する。
月面の巡回探査を行う機器を搭載し、軟着陸を行うと共に月面の巡回探査を行い、着陸地点の地形、地質構造、岩石の化学・鉱物成分及び月面の環境を調査するほか、月の石の調査及びサンプル分析、太陽-地球-月の宇宙環境観測、月ベースからの天文観測などを行う。
具体的には、月面に着陸する月面車およびロボットを通じて着陸地点の岩石・鉱物成分を調査し、着陸地点の熱流と周囲の環境を測定、高解像度撮影と月の石の調査又はサンプル分析を通じて月面基地建設の場所選定に向け、月面の化学・物理パラメータを取得する。
▽第3段階「帰還」
第3段階の実施期間は2011年-2020年と定められている。月面に軟着陸する機器を打ち上げ、地球外天体から地球への帰還技術を確立する。月のサンプルを採集し、地球に持ち帰る。地球上でサンプルの分析と研究を行い、地球-月システムの起源及び変化への認識を深める。目標は、月面の巡回探査とサンプルの持ち帰り(サンプルリターン)だ。
「人民網日本語版」2010年9月20日