中国の月探査第2期計画の先導衛星である嫦娥2号は、嫦娥1号と比べると6つの改善点と異なる点がある。
コア技術の違い 嫦娥2号は6つの技術検証を実施
嫦娥2号は飛行期間中、以下の6つの技術検証を実施する。
1. キャリアロケットを使って地球から月軌道まで直接向かう打ち上げ技術
2. Xバンドでの深宇宙通信を搭載し、中国が新しく建設した地上コントロールセンターを使った、Xバンド深宇宙制御システムのテスト
3. 月面から100キロ近くの地点での月軌道の確保技術の検証
4. 月面から100-15キロの軌道移動と飛行技術の検証
5. 低密度パリティ検査符号(LDPC)、月表面のデータの高速転送、落下カメラの技術の検証
6. 着陸が予定されている地域の高精度映像のテスト
そのほか、嫦娥1号を基礎に、嫦娥2号では負荷を変更し、月の測定精度を高めた。4種の科学探査を実施し、より精度の高い月表面の3D映像を取得し、解像度は嫦娥1号の120メートルから10メートルになる。また、月表層の物質、月面の性質、月表面とその周囲の環境を測定する。
周波数バンドの違い 嫦娥2号では高精度のXバンドでの深宇宙通信技術を初めて使用
嫦娥1号で使用したSバンドと異なり、嫦娥2号では初めてXバンドの探査技術を使用する。月探査第2期計画でXバンド制御システムを採用するため、それに先立ち嫦娥2号はシステムの検証を行う。
軌道設計の違い 嫦娥2号の軌道設計に4つの変化
1. 嫦娥1号はキャリアロケットで地球を周回する楕円軌道に投入され、衛星の推力を利用して月軌道に入ったが、嫦娥2号はキャリアロケットを使って月軌道に直接送られる。
2. 月軌道の高度が嫦娥1号の200キロから嫦娥2号では100キロに落とされる。
3. 月周回軌道が嫦娥1号の200キロから嫦娥2号では100キロに落とされる。
4. 嫦娥2号は軌道を100-15キロに落とし、目的地域の高精度映像を撮影する。
軌道の高度の違い 軌道の変化が嫦娥2号にある程度の影響も
嫦娥1号の200キロ・200キロの軌道と異なり、嫦娥2号の月周回軌道は100キロの円軌道、100-15キロの楕円軌道に落とされた。
カメラの違い 嫦娥2号には4台の小型カメラを設置
嫦娥1号のCCD立体カメラと異なり、嫦娥2号には3台の監視カメラと1台の落下カメラを設置し、監視カメラは490Nエンジン、ビームアンテナ、太陽帆の部分につけられる。
カメラはシステムの高度設計により手のひら大のサイズを実現し、重さはわずか300-400グラムで、光、機械、電力、熱などの先進技術を総合的に利用し、打ち上げ時の強い衝撃に耐え、悪い宇宙環境化でも使用できるようになっている。カメラは自動撮影、即時画像圧縮などの操作が可能で、動きに適した撮影を行う能力を持ち、寿命が長く信頼性が高い。
航行・誘導・制御の違い 嫦娥2号のGNC(航行・誘導・制御)システムで3つのイノベーション
嫦娥2号のGNCシステムは主に嫦娥1号の基礎を引き継ぎ、ソフト・ハードウェアに手を加え、3つの技術イノベーションを実現した。
1. 紫外線センサーのソフト・ハードウェアに手を加え、月軌道と月周回軌道の補助誘導を実現。
2. GNCソフトウェアのアップグレードを通して、より柔軟性のある軌道コントロールを実現し、制御地域外の軌道コントロール、軌道変更後の月の測定を可能にした。
3. 負荷とセンサーの相互作用、紫外線センサーの映像撮影・伝送の機能の向上を実現し、解像度130メートルの月面の紫外線映像の撮影を可能にした。撮影範囲は月面の80%以上の地域をカバーする。