中国科学技術協会はこのほど、科学者とメディア関係者による交流イベントを開催した。
中国衛星航法学術年会科学委員会の劉経南・執行主席(中国工程院院士)は同イベントに出席し、「衛星測位システム(GNSS)は人々の生活を様々なところで変化させるだろう。その応用範囲を制約するのは人々の想像力以外にない」と述べ、北斗応用の将来性を語った。光明日報が伝えた。
中国の測位衛星システム「北斗」は、米国のGPS、ロシアのGlonass、欧州のGalileoとともに世界4大測位衛星システムと言われている。劉経南・執行主席は、「現在、北斗の機能は科学、金融、電力、通信などの分野で応用されているほか、漁業、森林防火、水域および海洋情報モニタリング、大気環境モニタリングなどの面でも北斗のポジショニング・通信機能が発揮されている。ブン川(四川省)、舟曲での災害救援においても、北斗はなくてはならない役割を果たした。当時、ブン川ではすでに通信が寸断され、陸の孤島となっていた。第一陣として被災地入りした武装警察四川総隊と森林警察先遣隊は、北斗一号の端末を使って北京の指揮センターと連絡した」と述べた。
中国衛星航法学術年会科学委員会の楊元喜・執行主席(中国科学院院士)は「北斗の地域システムとグローバルシステムが完成すれば、北斗の力は倍になり、GPSとまったく同じ機能を有することとなるだろう。現在一般的によく知られているGPSと比べても、北斗はポジショニング・ナビゲーション機能だけでなく、通信機能も有するなど機能が豊富だ。これまでの試算と計画によれば、北斗の民間向けチップの価格はGPSのチップ以下となる見込みだ。来年以降、中国のドライバーたちも北斗のナビゲーションサービスが使えるようになるだろう」と述べた。
北斗測位衛星システムプロジェクトの孫家棟・総設計師(中国科学院院士)は、「北斗システムは自主開発、包括的、漸進的という発展原則を堅持し、三段階の発展戦略に基づき着実に推進している。第1段階はすでに実現された。2000年から2003年にかけて試験システムを構築、中国は米国、ロシアに続いて世界で3番目に独自の測位衛星システムを持つ国となった。第2段階は2012年を目処に、北斗の地域衛星測位システムを完成させ、アジア太平洋地域に向けてサービスを提供する。第3段階は2020年を目処に、衛星30基あまりからなる、北斗のグローバル衛星測位システムを完成させる」と述べた。(編集SN)
「人民網日本語版」2011年3月24日