写真は原書の表紙
日本僑報社が3月22日に発表した報道によると、中国の著名な国際関係学者である金燦栄教授の『大国の責任――金融から安全保障まで中国が果たすべき国際責任とは』が2014年5月、同社から刊行される。
1970年代末からの改革開放政策によって、国際システムに急速に溶け込んだ中国。その中国が世界舞台のセンターポジションに向かっているのは避けられない現実だ。西側諸国の経済が低迷する中、中国経済の急成長は10年以上も続き、名実共に世界経済を牽引する最強のエンジンとなった。
こうした情勢下にあって、大国には巨大な支配力は必要ないが方向性が必要であり、それが「責任論」である。
金融、人道主義、グローバルガバナンス、安全保障、気候、為替相場、債務などに対する責任を一括りにした中国の「大国責任」に、世界の注意が向けられている。では中国はいかなる方法で国際責任を果たそうとしているのか?
本書は、中国の国際責任の歴史を踏まえた上で、国連安保理常任理事国、世界最大の発展途上国、新興市場経済体、国際社会の建設者としての中国がそれぞれいかに国際責任を果たすために努めているか、その具体例を詳述。さらに中国が現行の国際システムに加入した上で、世界平和と発展にいかに貢献するか、その責任課題についても明らかにする。
中国で国際関係学のトップに立つ著者が、ますます関心が高まる中国の国際責任について体系的かつ網羅的に解析。世界が注視する「大国責任」のあり方や、その政策の行方を知る有益な1冊だ。
なお本書訳者の本田朋子氏は、共立女子大学国際文化学部国際文化学科中国文化コース卒業。中国の深圳外国語学校日本語科勤務。日本僑報社と日中交流研究所が主催した2005年の第1回「日本人の中国語作文コンクール」(社会人の部)で2等賞を受賞。日本僑報社創設の出版翻訳プロ養成スクール「日中翻訳学院」の修了生でもある。現在は翻訳家として多方面で活躍している。
また本書著者である金燦栄教授の共著『中国の未来』(東滋子訳)は2013年12月、日本僑報社から刊行されている。
【目次】
第一章 中国の国際責任の起源
第二章 責任ある大国としての中国―そのモチベーションと歴史的特徴
第三章 国連安保理常任理事国としての中国―平和を維持し、責任を共有する
第四章 世界最大の発展途上国としての中国―発展の推進と福祉の共有
第五章 新興市場経済体としての中国―協力を促進し、共同繁栄を実現する
第六章 国際社会の建設者としての中国―友好的共存、調和とウインウイン
第七章 中国の国際責任―チャンスと課題
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年3月22日