南京医科大学が5月15日に発表した情報によると、同校の張正東教授率いる研究チームはヒトの全遺伝子を比較し、PM2.5の影響を受けるヒトの「遺伝子リスト」を作成した。この成果は毒性学の国際学術誌「Toxicology Letters」に掲載された。全遺伝子水準から、PM2.5の細胞への毒性作用に関する潜在的な分子メカニズムが解明されたのは、中国で初めてのケースとなった。科技日報が伝えた。
同研究チームの関係者は、「同研究は、PM2.5がなぜ細胞に対して毒性を持つか、いかにして毒性を生むかを解明した。人の気管支上皮細胞を3つの異なる濃度のPM2.5培養液に入れ、さらにその遺伝子を抽出したところ、PM2.5の影響による変化が認められた。遺伝子発現が強まったものもあれば、弱まったものもあった」と語った。
遺伝子が人体の生物学の過程に加わる際、遺伝子発現の変化は人体の免疫力、DNA損傷の修復に影響を与え、さまざまな症状を引き起こし、健康に影響する。
PM2.5培養液の濃度により、遺伝子発現に違いが生じた。低濃度培養液のうち970個の遺伝子の発現に変化が生じたが、高濃度培養液は492個となった。しかし研究者は、遺伝子の持つ機能と作用が異なるため、遺伝子の損傷の程度と影響を受けた数との間には、直接的な関連性がないと指摘した。
PM2.5とは粒径2.5μm以下の極小粒子状物質を指す。PM2.5の人への危害には、主に呼吸器系疾患、心血管疾患が含まれる。PM2.5が吸入され、肺胞に付着すると、肺組織の奥深くに浸透し、さまざまな疾患を引き起こす。PM2.5には人体に有害な物質も多く含まれる。例えば多環芳香族炭化水素などは発がん性物質であり、肺がん発症のリスクが最も高い。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年5月18日