近代に伝わっている牽牛織女の民間の物語は、内容もずっとゆたかで健康的である。その伝統によると、牽牛は誠実で正直な働き者の若者で、父母が死んでから兄夫婦に頼って暮らしていたが、兄嫁がよくない女で、たった一頭の老いた牛と、おんぼろの大八車、痩せた二ムー(一ムーは六・六七アール)の土地を分けてやって、分家させてしまった。牽牛は自活する羽目におちいり、老いた牛を身内のように大切にして、「牛の兄貴」と呼んでいた。牛は牽牛が一人ぽっちなのを見て、嫁を世話してやろうと思い、某月某日に七人の天女が下界に降りてきて遊び、天の河で入浴するから、もしそのうちの一人の天女の服を盗んだら、その天女が彼の妻になると教えてやった。牽牛はその言いつけ通り、ある月のおぼろな晩に、織女の服を盗み、それから二人は夫婦になった。