中国の「スーパーコライダー」、コンセプトデザイン報告が年内完成へ

中国の「スーパーコライダー」、コンセプトデザイン報告が年内完成へ。

タグ:スーパーコライダー

発信時間:2017-11-13 13:16:38 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 物理学界で注目されている中国の「スーパーコライダー」、円形レプトンコライダー「CEPC(SPPC)」に最新の進展があった。中国科学院高エネルギー物理研究所が本日発表した情報によると、「スーパーコライダー」のコンセプトデザイン報告書が年末にも作成される見通しとなった。報告書は同コライダーが解消すべき問題、製造方法、設計指標、難易度などの問題に回答する。

 

 「スーパーコライダー」とは中国高エネルギー物理学界が2012年に打ち出した、未来を見据えた大型粒子コライダープロジェクトで、最終的な規模は現在世界最大でエネルギーが最高の、欧州原子核研究機構に設置されている大型ハドロンコライダー「LHC」の数倍になる。巨額の経費を必要とするため、物理学界内では議論が巻き起こった。賛成者はスーパーコライダーにより中国が世界物理学研究センターになり、産業技術の進歩を刺激すると判断した。反対者は巨額の経費が必要でありコストパフォーマンスが低く、その科学目標にも意見の食い違いがあると判断した。

 

 同プロジェクトの主な推進者、中国科学院院士、中国科学院高エネルギー物理研究所所長の王貽芳氏は「どのような大型科学装置にとっても、事前研究はプロジェクトの立案、最終的な着工に対して重要な役割を演じる。5年間の取り組みによりスーパーコライダーの重要問題を解消し、第14次五カ年計画期間中(2021-25年)の着工を目指す」と述べた。

 

 これほど大規模な科学装置は、中国の工業設計、製造、加工水準にかつてない高い基準を突きつける。王氏は「我々が必要としている多くの設備を、中国ではまだ生産できない」と述べた。王氏のチームはそこで、CEPCプロジェクトの国産化率を95%以上にする目標を打ち出した。これは輸入計器に依存している現在の基礎研究とは本質的に異なる。王氏はまた、これらの関連重要技術は未来の加速装置が必要とするものであり、その分野でも応用され、重要な影響を生むと信じている。

 

 王氏は中国青年報、中青在線のインタビューに応じた際に、「現在の設計案と技術事前研究はほぼ出来上がっている。中国科学院高エネルギー物理研究所は今月7日、40社以上の企業とCEPC産業促進会を共同発足した。関連技術の事前研究でさらに連携を強め、重要技術の難関を共に突破することが目的だ」と述べた。

 

 世界では大型科学装置の投入産出比率には、一定の基準がある。例えば高エネルギー物理研究に用いられる大型加速装置ならば、約1:3が公認の基準となっている(1円の投入で3円産出)。

 

 王氏は「この数十億ドルにのぼる投資は、科学面の豊富な見返りをもたらし、技術の発展をけん引する。最も有名な例を見ると、欧州原子核研究機構は科学者間のデータ共有問題を解消するため、ワールドワイドウェブを発明した。これは今日、誰もが不可欠とする技術だ」と述べた。


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月13日


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