上海万博は「グリーン外出」を提案したうえ、CO2排出削減量購入によって外出で発生したCO2排出を相殺するというカーボンオフセット措置を打ち出した。上海万博のCO2排出削減活動が事実上一歩前進したことになる。『瞭望東方週刊』が伝えた。
IOC(国際オリンピック委員会)の統計によると、北京オリンピック開催期間中のCO2排出量は118万トンで、「グリーン外出」を提唱したおかげで8026トン削減されたという。
その1年後、この8026トンのCO2排出削減量が北京環境エネルギー取引所で正式に取引された。上海天平自動車保険会社は27万元を出して同排出削減量を購入し、当該企業の04年から08年にかけての運営で発生したCO2排出量と相殺した。
上海市の楊雄常務副市長は1カ月前に、「『低炭素上海万博』が2010年上海万博の核心的コンセプトとなる」と指摘した。
10月25日、国家発展改革委員会で資源節約・環境保全を担当する解振華副主任が上海で低炭素排出計画の実行状況を視察した。
なぜ「低炭素万博」を提起したのか?
今年8月以降、天平自動車保険会社が国内初のCO2排出削減量を購入したのに次いで、低炭素に関する情報が次々に取り上げられてきた。
10月、天津CO2排出権取引所は、「中国石油、モトローラ、遠大エアコンなど28社のCO2排出量の多い大企業が意向書を提出し、『企業の自発的なCO2排出削減共同行動』に加入することを求めた」とメディアに発表した。
国家発展改革委員会は低炭素経済発展に関する指導意見を起草しているところで、同意見は産業政策として実行されることになる。
上海環境保護局の張全局長は先頃、「今年後半に入ってから、中国が気候変動対応のために提唱する低炭素発展策が明らかになってきている」と指摘した。
温家宝総理は今年6月と8月に開かれた重要な会議で、「気候変動対応とCO2排出削減を国民経済と社会発展計画に組み入れる必要がある」とし、「グリーン経済を大いに発展させ、低炭素排出を特徴とする新しい経済成長要素を育てる」と指摘した。
9月22日、胡錦濤主席は国連気候変動サミットで、「2020年までに中国はGDP単位当たりのCO2排出量を05年より顕著に削減することを目指す」と約束し、「グリーン経済、低炭素経済、循環経済を大いに発展させる」と強調した。
こうした背景の下、「低炭素上海万博」というコンセプトが正式に打ち出された。
張全局長によると、上海市環境保護局は2010年上海万博実行委員のメンバーとして、率先して「グリーン万博」関連業務に取り組み、昨年から低炭素万博の検討をスタートしたという。
「われわれは環境にやさしい低炭素万博を期待している。開催期間中に低炭素というコンセプトを徹底し、CO2排出をできる限り避け、減らすと同時に、必要な措置をとって万博開催で増やされたCO2排出量を相殺し、環境への影響を減らす」と張局長は述べた。
「北京五輪の参加者は100万人足らずで、人数が少なかった。それと比較すれば、上海万博の来場者は約7000万人、開催期間は半年となり、CO2排出量の80%は外出によるものだと見込まれている。このため、『グリーン外出』と『低炭素万博』を提唱することには非常に意義がある」。北京五輪「グリーン外出」の提唱者の1人、米国環境保護協会中国プロジェクト責任者の張建宇氏は話す。
「『グリーン外出』は、CO2排出を削減するために、来場者にできるだけ公共交通機関を利用してもらうということだ。上海万博は『グリーン外出』を提唱したうえ、CO2排出削減量の購入によって外出で発生したCO2排出量を相殺するというカーボンオフセット措置を打ち出した。上海万博はCO2排出削減活動を事実上一歩前進させた」と張氏は評価している。
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